第106回 初訪問、タテル ヨシノ

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  • 2003年9月1日(月)
<事前情報>
1.小田原→パリへ移転した「ステラ マリス」のシェフが、
  再び日本へ出店
2.芝パークホテル内のメインダイニングの位置づけ。
  よってランチどころか朝食もやっている
3.パリではゴー ミヨーで点数を取ったが、
  ミシュランでは「ヒラマツ」に先を越された
4.数年前のパリ店へ訪問した際は、あまりの日本人の多さと
  何の変哲もない料理に驚いた。
  星を狙わず、金儲けに走ったかと思った。

<感想、その他>
立地
ホテルの別館の1階です。芝公園から歩いて5分。
都営三田線だけで、ちょっと不便かもしれません。

外観、内装
朝食も造るからでしょうか、
外にはテラス席もあり、夕食もとれるようです。
テラスだけで20席はあったでしょう。
店内も照明が明るく、カジュアルな造りです。
ホテルのメインダイニングというと、
「ラ ベルエポック」のような
アール ヌーボー調を想像してしまいますが、まったく違います。
店内のテーブル席は30席くらい。他に個室があるようです。
結構な大箱はホテルのレストランですから仕方ないでしょう。
小田原時代の常連が来ているのでしょうか、
結構盛況で、8割がた埋まっています。
政治家風の親子連れ、建築家風のカップルなど
客層はバラエティー。
ドレスコードはジャケット着用とのことでしたが、
ノージャケットの人も食べていました。
コードの運用は柔軟なようです。

サービス
スタッフは黒服、白服とも多い。数え切れません。
ソムリエも何人かいるのでしょうか、
そしてあの「タイユバン ロブション」の
シェフソムリエだった人がマネージャーをやっておりました。
ソムリエ職ではなかったので、安心しました。
サービスは悪くはありません。ストレスも感じませんでした。

料理
コースが9000円。
シェフお任せという最近流行のネーミングのコースが
1万5000円とかなり高い設定です。
だいたい私が疑問に思うのが、この「シェフお任せ」。
9000円のコースは「シェフお任せ」ではないのでしょうか。
客が料理を指定するわけではなく、
店にお任せするコースなのです。
まさか、2番手、3番手に任せる料理ではないと思いますが。
アラカルトは、前菜が4~5000円、
魚・肉は5~6千円とかなり強気の設定です。
単品で頼んでもコースと変わらない価格設定なので、
迷わずアラカルトを選択しました。
驚いたのはアミューズ。
小皿一口料理が、4皿標準で付いているようです。
ちょっと得した気分にさせて、
シャンパーニュや白ワインを頼ませる高等戦術のようです。
前菜も5種くらい、
肉もこの時期、牛、豚、仔兎、鴨など揃っていて選択肢は多い。
前菜は価格が安い野菜のエチュベが良いでしょう。
量もあり、食材原価も低いでしょうが、CPは悪くない。
メインは豚のゼラチン系の煮込みがなかなか味わいもあり、
鮑や仔兎のパイ包みより魅力的です。
あの最悪だった「パリ店」の料理とはかなり違います。
シェフが改心して、気合を入れなおしたのでしょうか。

ワインにはびっくり。
数は少ないですが、ブルゴーニュ、ボルドーともに
古酒もリストアップされています。
70年代はおろか、40年代のものまでありました。
パリの本店では、90年代の若い、
普通のワインしかなかった記憶がありますから、
この手のワインはどこから持ってきたのでしょうか。不思議です。
本店より金払いの良い客層をターゲットにしているようですね。
値付けは、ノンヴィンのシャンパーニュで8500円。
ちょっと高いが、ホテルだから許せる範囲でしょう。
古酒は絶対金額が高いだけに、小売価格との乖離はあまりなく、
掛け率は低いようです。

ワインを一人当たり1本近く飲んでしまいましたが、
適度なワインでお代は一人当たり3万円。
さすが、芝パークといえども、高かったです。

<結論>
1.たまたま吉野シェフが来日していたからか、
  料理はうまい範疇。
2.しかし、値段はグランメゾン級です。
  吉野氏が不在の場合、料理がどうなるか、疑問が残ります。
3.カフェレストランの雰囲気なので、料理は良いが、
  トータルで考えるとこの客単価ではCPは良くはない。
4.ワインは適正な範囲の値付けでしょう。種類もまずまず。
5.秋に汐留パークホテルにもう一軒出すそうです。
  信じられない短期間での多店舗展開。いやな予感がします。
  できれば、汐留がオープンする前に訪問すべきでしょう。