第101回 ボツになったある雑誌への取材回答 その3コスト・パフォーマンスをより具体的に
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- 2003年8月27日(水)
ご著書ではコスト・パフォーマンスについて触れておりますが、
その点についてもう少し具体的に教えてくださいませ。
CPはあくまで個人的な食後感です。
支払った金額に見合った食材、料理法、建屋・内装、
サービス陣への満足感が得られたか、元が取れたと考えられるか、
といった相対的なものです。
イメージ的には、分母に支払額、
そして分子に料理、サービス、
雰囲気の満足感を配置することによる相対値ですね。
一人3万円と5千円の店で、まったく同じ料理、
サービスを要求することは出来ません。
グランメゾンなど3万円も4万円もかかる店への
期待値は高いはずです。
食材、料理法、サービス、内装などに多くを望むのは
当たり前です。
要は、払った金額に見合った店だったか、
安い店はそれなりだったか、を言っているだけです。
あくまで私の価値観でありますが、店の詳細な評価や描写、
そして私の評価基準を参考にしていただいて、
読者の方にはそれぞれ修正していただきたいと思います。
私の第一の評価基準は「経営者・料理人の性格」です。
「性格の悪い料理人の店は、うまい料理を造らなくなる」
というのが私の結論です。
うまい料理を造れないのではありません。
あるレベルに達した料理人は、
本気を出して、食材に糸目をつけなければ
皆うまい料理を提供できると思います。
必要以上に儲けに走り食材の質を落とす、
または売値を上げるとCPは低下します。
多店舗展開を図れば、味、サービスは落ちます。
見栄を張って森ビルなど家賃の高い場所へ出店すると、
食材や料理人、サービスの質を落とさざるを得ない。
人気が出て、派手な人脈との交流と副業の忙しさから
厨房にたたなくなる。
マスコミに持て囃され、勘違いしてカリスマ性を出そうと
客に傲岸不遜に接する。
いずれも味やサービスが落ちる要因ですが、
すべて経営者・料理人の性格、人生観、意思の強さに
かかわってくることだと思っております。