第102回 ボツになったある雑誌への取材回答 その4取材方法や覆面取材の理由について

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  • 2003年8月28日(木)
●取材方法についてお訪ね致します。
 取り上げたお店の基準とはどのようなものでしょうか。

約60店舗でしょうか。
対象としたのは、料理評論家、フードジャーナリストから
高評価を得ている店を優先しました。
そのような店は過剰評価されている店も多いと踏んだからです。
読者・一般客が評価本を読んで出かけていって
がっかりする確率が高い店が多く、
まずそこを問題にしたかったからです。
持論の一つ、立地の悪い店で
妙に褒められている店も積極的に取り上げました。
しかし、自腹取材なので、今までに行ったことのない店があり、
残念ながら紙面の都合もあって、
今回は取り上げられなかった店も結構ありました。
こんなことを書くとまた文句を言われそうですが、
いわゆる「鉄人の店」などは、
既に一般客も評価する対象からはずしている、相手にしていない、
と判断して取り上げませんでした。
結果は見えていますからね。
あとは、ホテルの店、そして「マキシム」など老舗も
今更私がどうこう言う前に、
既に世間で評価付けは終わっていると判断してはずしました。


●取材は一回いっただけの評価なのでしょうか、
 それとも複数回訪れての評価なのでしょうか?

私はここ数年のグルメブームから食べ歩き始めたわけではなく、
かなりの期間食べ歩いているので、
新しい店以外は複数回訪れています。
ただし、「追い出された店」など無茶苦茶な店や、
予約が非常にとりにくい店など一度しか行けなかった店は
いくつかあります。
しかし、脱稿後、また出版後に再び訪れている店もあります。
店と客は一期一会です。
料理人の体調やその他不可抗力の条件で
たまたまおいしく感じなかった店とか、
まだ可能性のある店は再訪しますが、
「追い出し」などは店のポリシーに関するもの。
これは根本的に反省というか
経営者が変わらないと直らないと思いますので、
再訪はしていません。
ある程度の年になりましたら、
人の性格はなかなか直らないと考えます。


●取材に当たっては、事前に取材の意図を伝えぬ
 いわゆる“覆面取材”の方法をとられているようですが、
 その理由とは何でしょうか?

これは私の評価の根幹に位置するものです。
読者・一般客を対象にした本は、
一般客が食べる料理、受けるサービスを評価しなければ
読者の役に立ちません。
お金を払って購読してくれるのですから。
実名取材ですと、特別料理を特別待遇で食べることになります。
この事実は、山本益博氏をはじめ
多くのフードジャーナリストたちが著書で認めていることです。
「東京いい店、うまい店」でも
巻頭に実名取材の弊害が書かれています。
ですから覆面取材に徹しております。
「友里」で入店しようとしたら、
おいしい特別料理を出してくれるより、
塩をまかれて追い出される方が多いかもしれませんね。(笑)

一般客を読者として対象にした料理評価本は、
こんな特別料理を食べた、こんなに優遇してもらった、
料理人とこんなに親しい、などを列記する
「自慢本」であってはならないと考えます。