第948回 次郎やマスヒロさんの影響力が弱まったのか

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  • 2006年4月10日(月)
「次郎」の小野二郎さんやマスヒロさんが高飛車に語っていた
「鮨屋は飲み屋じゃない。
長居しないで握りをさっさと食べて、
高額支払ってとっとと帰れ」。
握りたての鮨を放置して、
酒を酌み交わしながら会話に夢中になる客は考えものですが、
だからといって、次から次へと客のペースに合わせず
自分のペースで握りを出し続ける方針はいかがなものか。
かくして、昼なら20分あまりで3万円近く、
夜も1時間持たなくて3万5千円以上請求する
勘違い鮨屋が誕生してしまったのです。
最近は鮨ネタの質では
トップに君臨するとはいえなくなったようですが、
おそらく時間単価では
全ジャンルでトップを張る食べ物屋ではないでしょうか。
店だけの為の効率的な営業の片棒を担いだ
マスヒロさんの罪は重いと言うものです。

一時は彼らに洗脳されてしまったようで、
鮨屋では酒を飲んだら粋ではない、特に握りはお茶と食べる、
といったスタイルを貫く客も増えましたが、
握りと日本酒の相性の良さを認める方が大多数ではないでしょうか。
二郎さんやマスヒロさんの影響力が
かなり低下してしまったと私が感じたのが、
最近オープンしたいくつかの鮨屋の営業方針です。
銀座に限らず六本木や西麻布でも、
ツマミに力を入れた店が目立ってきています。
ざっと挙げてみますと、
「椿」、「おおの」、「くわ野」、「きたむら」、
「吉武」、「拓」などなど。
いずれも昼は営業せず、夜に勝負をかけてきた鮨屋であります。
新鮮タネ志向というよりは、俗に言う江戸前鮨に近いタイプ。
お茶で食べるオタク客を回転させるのではなく、
じっくりお酒を飲む客にターゲットを絞った方針です。

私はかなりの酒飲みですので、
「次郎」の営業方針は性に合いません。
かといって、あまりにツマミに重点を置きすぎる店も考えもの。
広く浅くなりタネ全体のレベルが低下するか、
高レベルを保つためには
客単価をかなり高くしなければならないからです。
握りに到達する前に酔ってお腹が一杯になる可能性もあります。
握り主体がいいのか、オツマミに力を入れるのがいいのか、
物事はほどほどが一番ではないかと私は考えます。

―お詫び―
放送作家のずずきB様よりメールをいただきました。
私のコラムでの事実誤認の指摘を受けました。
赤坂の「ナム・サオ」というベトナム・タイ料理屋のオープン時、
犬養裕美子さんから花が送られたと先日のコラムに書いたのですが、
そのような事実はないとの事でした。
私の確認ミスというか記憶違いであったことをここに認め、
お詫び申し上げます。
その他のことは、
概ね事実だということもおっしゃっていましたことを
ここに確認させていただきます。