第916回 バーター取引だよ、東京カレンダーに情緒食堂
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- 2006年3月9日(木)
「東京カレンダー」という月刊誌と
「東京情緒食堂」というムックを発行している会社です。
最近は、「ザ・接待」というムックまで出しています。
浅妻さんや来栖けい氏などを重用している、
この友里とは対極をなすスタンスの飲食店ヨイショ、
迎合出版社であります。
営利会社ですから、内容がまったく一般読者のためにならない、
ただの「煽り記事」満載雑誌だとしても、
購入して読み、それを信じるかは購入者の自己責任。
胡散臭いヨイショライターを信じて騙される
読者が悪いと言われればそれまでですが、
東京カレンダーの2月号と情緒食堂を読み込んで、
これは出版社の矜持として
いかがなものかといった部分を発見しました。
年末の情緒食堂では、
「年末・年始開店 新たなる美食の聖地へ」というくくりで、
ニューオープン、移転の店をいくつか取り上げておりました。
「ガニエール」、「マンダリンホテル」、
「ギオットーネ」などは他のマスコミ露出を考えて理解できます。
「マンジュ トゥー」、「かどわき」、
「えぐち」もなんとか許容範囲。
しかし、「スシブラッセッリー 輿」という店を
大きく取り上げていることに私は引っかかったのです。
橘俊夫氏という、ニューオータニの「石亭」、
帝国の「伊勢長」で料理長を6年務め、
天王洲のスシダイニング「ラピュタ」で独創的な和食を展開し、
今度はこの「輿」で料理長を務めると、
なにやら凄い料理人と寿司屋のような紹介記事です。
しかし、帝国の「伊勢長」、それほど料理が良かっただろうか。
「ラピュタ」なんて聞いた事がなかったのですが、
ネットで調べたら、
夜景がウリなだけのタダのダイニングではありませんか。
しかも、この「輿」が入店するのはあの「ブノワ」をはじめ
客不入り店が続出の「ラ・ポルト青山」です。
期待できるはずがありません。
そして、その後発売された「東京カレンダー2月号」では、
同じ料理写真を使用していますが、
イメージを変えた1頁の記事がありました。
内容は情緒食堂と似たようなものでしたが、
大きな違いは、頁下に小さく書かれた「PR」の二文字。
何の事はない、
紹介記事に紛れ込ませた広告費用をとったPR誌面なのです。
これで私は東京情緒食堂で取り上げられた理由を理解したのです。
あくまで推測ですが、PR広告の注文を出す事を条件に、
ニューオープンの紹介特集で取り上げることを確約した
バーター取引ではないかと。
でなければ、
こんな無名でまったく良さそうに思えないダイニングスシを
いくらヨイショ専門といえども大きく取り上げるはずがありません。
しかし、利益追求といえども、
こんなやりとりで「煽り記事」を書いて良いのでしょうか。
カレンダーや情緒食堂で取り上げる店は、
多かれ少なかれ広告費を払っているのではないかとの
疑いがでてしまいます。
フリーペーパーではないのですから、
発行会社の矜持、モラルを疑います。
勿論私はこの店へ確認に行きました。
昼は千円前後の見た目も美味しくなさそうな、
スシなどのランチと「快石」と称した和食コースが3千円。
夜は変わりスシを合間に入れた「快石料理」が
8千円から1万2千円です。
こんな「快石」とネーミングする店に
まともなものがあるでしょうか。
料理長はランチの刺身定食(既に切り置いた刺身)やヅケ丼を、
若い2番手がスシを握っておりました。
私はランチではなく、夜の握りをお好みで頼んだのですが、
食べる前に食欲をなくしました。
2番手はまともなスシ修行をしているのだろうか。
酢飯の量がなかなか定まらずジャーの中でこね回しております。
タネに酢飯を乗せてからの返しもぎこちないですが、
それから成形する手数の多いこと。
しかも2回、3回と持ち替えます。
タネが見る見るうちに温まってしまうではありませんか。
酢飯は当然緩すぎで、山葵もないに等しい。
タネ質もかなり下で、赤身など「問題外の外」といったものでした。
無理して日本酒で一応の握りを食べきり、お会計は7千円超。
まったくの似非握りスシ、ひどかったです。
料理長が盛り付けたヅケ丼もこれまた傑作。
鮪を丼の縁から外側へ垂らして盛り付けるのは汚らしい。
刺身はクラッシュアイスに直接乗せていましたから、
ベチャベチャでしょう。
街場の寿司屋の水準までも行っていない似非寿司屋。
ある程度予想していましたが、
これほどひどいとは思いませんでした。
私は言いたい。
無闇に広告費を受け取ってPR以外に紹介記事を書くならば、
ライターや編集者はその前に一度食べに行ってみろ、と。
実際食べたらこんな煽り記事は普通書けないと思うのですが、
アクセス・パブリッシングのライターや編集者は、
もしかしたら鮨、
いや味がまったくわからないのかもしれません。
こんなことを暴露してしまったからには、
もう絶対友里には
アクセス・パブリッシングから執筆依頼は未来永劫来ないでしょう。