第898回 ワインの諸々 91持込タダの店の計算は?
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- 2006年2月19日(日)
銀座の「かわむら」。
小山薫堂氏が推奨した店では、唯一の「当たり」かもしれません。
ヒレサシ、炭火焼のヒレステーキからレバサシまで
美味しくいただいたのですが、
もう一つ私が再訪したくなる理由が
「ワインの持ち込み料タダ」という営業方針です。
最近は有名ホテルでも持ち込みを容認し、
しかも一本5千円以下と安くなってきましたが、
まだまだ「タダ」という太っ腹は珍しい。
レストランではメインの料理のほか、
アルコールも重要な利益を生み出すコンテンツであるため、
ワインを持ち込まれるとその利益が減りますから、
補填の為とグラスなどの損料の意味で
持ち込み代を請求するのは理解できます。
最近昼をやめて、夜の営業時間を長くする店が増えてきましたが、
酒類の販売が増え売上が伸びるのが主な理由とのことです。
では、なぜ持ち込み料をタダにするのか。
グラスは小さいですがちゃんと出してくれますし、
抜栓もしてくれます。
数千円請求しても文句がでるとは思えないのです。
恐らくシェフは、酒、特にワインに興味がないのではないか。
ワインに拘るのが面倒だとの考えなのかもしれません。
料理が限界に近いくらい高く設定していることも原因でしょうか。
一人3万円前後に、
カウンターなのに立派にサービス料が付加されます。
ワインの持ち込み料を取ったら、4万円近くになるでしょう。
客単価3万と4万では、響きがかなり異なります。
私は和食、フレンチ、イタリアン、中華などでも、
この客単価3万円が分水嶺ではないかと考えるのです。
高台寺和久傳、嵐山吉兆、京味、あら皮などの例外はありますが、
高額店といえども
だいたいが客単価3万円前後に抑えている店が多い。
中には、撤退した「日本料理 小山」や
経営母体が民事再生法を申請した「厲家菜」など、
最低コース価格が3万円以上だったと記憶しています。
3万円以下に抑えなかったのが一つの敗因ではなかったでしょうか。
集客が不振だったのは、
最初からわかりきったことだったのかもしれません。