第887回 こんな鍋でスッポンの名店といえるのか、大市 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 2006年2月8日(水)
この店は、
スッポンの時雨煮、まる鍋、雑炊、デザートのコースのみで、
一人2万3千円ほど。
それ以外の料理のバリエーションはありません。
相当な年数使い込んだ鍋を使い、
かなりの高温度で調理するというのがこの店のウリでありまが、
年がら年中ワンパターンの料理は、厨房スタッフには楽でしょうが、
飽きはこないのだろうか。
弟子たちのモチベーションは保てるのか。
ワンパターンだけにすぐ技術は習得できるはずです。
何しろあの江戸前鮨や上海料理でも、
それほどの年数がかからないのですから。
よって、大市の厨房にいたといっても
他店へのツブシが利くとは思えません。
スッポン料理屋自身が少なく、レパートリーがないだけに、
和食屋への転出は難しいでしょう。

時雨煮は生暖かいまま提供されおいしくありません。
味濃いだけで骨付きなのにスッポンの滋味をまったく感じないもの。
表面的な味しか伝わってきません。

まる鍋は、骨付きの肉がエンペラと共に一鍋で7片ほど。
二人からは鍋を2回にわたって出してくれるそうですが、
私は一人で行きましたので鍋は一回でした。

よって、これで一人分かと思うほど量が少ないのにびっくり。
味はこれまた濃すぎてスッポンの滋味など程遠いものです。
これだけ単調な味だとお酒も弾まず、
酒飲みの私でさえビール1本と日本酒一合で終わってしまいました。
4~5年物の養殖スッポンを使い、
鍋の味付けは、醤油と酒と水だけしか使用しないとのことでしたが、
私に言わせれば、はっきり言って醤油の使いすぎでしょう。
ネットなど巷の評判では、東京の「さくま」より
男性的でインパクトのある味だと言われていますが、
私は滋味の出ないスッポンをごまかす為に、
醤油を多用しているとしか思えません。

当然雑炊も鍋と同じ流れの味付けですが、
卵と餅が入っているので濃い味が薄まってなんとか食べられます。
鍋までの量が少ないだけに、
この雑炊で満腹になるようカバーすることになりました。
デザートのメロンも硬くて駄目で、
不満足な3万円弱の会計となりました。

<結論>
この味、この食後感でなぜこれほど有名なのか。
まったくの過大評価店。
せめて昔はおいしい「まる鍋」であったと思いたい。
あのグルメ漫画もたいした事がないというのが今回わかりました。