第886回 こんな鍋でスッポンの名店といえるのか、大市 1
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- 2006年2月7日(火)
「さくま」の初訪問が決まりました。
日本料理では東京、京都を問わず、
いわゆる「まる鍋」とか
スッポン出汁のお椀をたまに食する事はありますが、
スッポン専門店というのはほとんど経験がありませんでした。
かなり昔、バブルの時期ですね、
飯倉か東麻布近辺だと記憶していますが、
割と安いスッポン料理専門店がありました。
話のタネにフルコースを頼んだのですが、
生き血は生臭く、
刺身は卵まででてきて気持ち悪くて食べられません。
鍋にはエンペラではなく、手足までがそのままの形で入っていて、
グロテスクで食べられたものではなかった。
味わいについてはまったく印象に残っていないところから、
まったく出汁の利いていないものだったと想像します。
風邪気味でスッポンの滋養で直るからとの知人の誘いでしたが、
かえって悪化して翌日から寝込んでしまったことは
鮮明に覚えております。
それから、スッポン専門料理は敬遠するようになったのですが、
本当においしいスッポン料理は別物だとの話を再三聞いて、
仲間に「さくま」へ連れていってくれるように頼んだのでした。
1週間後の訪問を控えた私はその前に、
「さくま」の本家ともいえる
京都の「大市」に行くことを考えつきました。
グルメ漫画に取り上げられて、
知名度を高めてかなりの人気、評判店になったという
創業300年の老舗。
海外の客にも喜ばれ、
レトルト食品をデパ地下などに全国展開するなど
大掛かりな業務拡大をはかっている
有名なスッポン料理店であります。
京都駅からタクシーで1500円ほど、
料亭ではなく田舎の民家といえるでしょうか。
玄関先ではメガネをかけた細身の主人が出迎えてくれました。
すべて個室対応で、ちゃぶ台に灰皿が完備されています。
思わずのけぞりました。
用意されているひざ掛けには、
「天下第一美味」との大仰な文字が書かれていますが、
肝心のスッポンの味はいかがなものなのか。
レトルトとはいえ、全国展開している店だと知りますと、
灰皿といい、なにやら嫌な予感がしてきたのです。
<明日につづく>