第854回 ランチと深夜、どちらをとるか
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- 2005年12月23日(金)
夜だけの営業に絞ってくる店が目立つようになりました。
すぐに思い当たる店としては、
「オステリア ナカムラ」、「レ ブランドゥ」、「ラ コロンバ」
など。
偶然3店ともイタリアンですが、繁盛してきて
昼営業をやめても大丈夫との判断が働いたのかもしれません。
私の見る限り、「コロンバ」はそれほど流行っているとは思えず、
ネットのレビューの高得点は、
レビュー投稿数の極端に少ない方たちが支えているようで
不自然さを感じます。
「石かわ」、「龍吟」、「鮨 はま田」といった和食や鮨屋も
一時期昼営業をしていたようですが、今は辞めています。
昼営業を撤退した店が
すべて深夜営業をしているわけではありませんが、
軌道に乗ってきた店にとって、
ランチはある意味「足かせ」になるのではないでしょうか。
夜の客単価が1万円前後という高額店でも、
昼は千円台からのランチを用意しなければ集客は難しい。
「ロオジエ」などグランメゾンでさえ5~8千円くらいの設定です。
お酒もそれほど飲まれませんから、
客単価は夜とはかなり異なりますが、バイトを含めた固定費は
それほど夜と差をつけることが出来ないはずです。
流行ってきたから昼辞めて、夜だけに集中したい、
夜だけの営業でも充分やっていける、少しは楽をしたい、
どうせなら昼ではなく深夜に営業したほうが効率的、
といった思惑を感じるのですがいかがでしょうか。
実際、オーナーシェフ、
オーナー主人が陣頭指揮で切り盛りしている店なら、
昼、夜の営業はそうとうな負担であると思います。
雑誌などで書かれているように、
本当に早朝から築地へ毎日通って食材を毎日吟味、
当然昼のために朝から仕込み、
ランチが終わったと思ったらその3時間後には夜が始まってしまう。
本当に自分で重要な仕入れ、調理をやっていたならば体調管理、
そして気分転換、ストレス管理がかなり難しいと推測します。
そういった意味からも、この職業は3Kと言われているのでしょう。
よって、有名になりだした瞬間に、厨房や築地に足を運ばなくなり、
取り巻きや常連と外食三昧、
高級外車を乗り回す人がでてくるのは不思議ではないのです。
誰だって楽をして儲けたいと思うのは自然の成り行きだからです。
その「楽」と「クオリティの維持」、「CPの維持」が
相反するものがあるところに、
この友里の唯一の存在価値があるとも言えます。
話はそれましたが、ランチを辞めて夜に専念するというのは、
巷では「繁盛店」、「人気店」の証と考えられるのですが、
逆の店もありますから不思議なものです。
銀座へ移転して噂では苦戦の「さわ田」。
昼に握りだけの1万8千円コースをやり始め、
夜も2回転目の営業を見合わせていると聞きました。
ほぼ一年前、銀座移転後に再訪して、
その後の銀座客への対応の難しさを指摘した身としましては、
悪い予想が当たってしまったようで心苦しい気もしますが、
未だ若い主人。
中野坂上でのオープン当初は客が入らず多少は苦労したようですが、
その後があまりに順調すぎただけのこと。
これを良い経験として更なるステップアップ、
そして、真に一般客のことを考え、
地に足つけた営業の店に発展させていただきたいと思います。
上野毛の「あら輝」の荒木氏は相変わらず威勢がよくて
夜営業を2回転制にするなど強気になっているようです。
しかし、日頃のその傲岸不遜な態度に
同業者からの批判も最近良く耳にします。
知り合いの料理店の主人にまで、
「2回転営業にしたほうがいい」と唆していると聞きました。
最初1回転を想定していた店が2回転に変更したら、
必ずクオリティは下がります。
鮨屋でない店へも薦めているようですが、
結果、客が離れてしまう危険が大いにあるわけですから、
一般客と店側ともに必ずしも得にならない、
単なる「稼げるときに稼いでしまえ」といった
「儲け主義」というウイルスを撒き散らすのは
大いに問題であります。
料理人に寄生して、
そのヨイショ話をネタに本を出版し続ける浅妻千映子女史。
有名ホテルで会費制の派手な出版パーティをした頃から、
荒木氏が変な方向へ突き進んでしまったと指摘している
「元常連客」の話を聞いたことがあります。
澤田氏と同じく未だ若い荒木氏。
このまま順調に時間制限の2回転営業を続けることができるのか、
それとも局面が変わって頭を冷やす時が来るのか。
神のみぞ知る、というほど難しい予想ではなく、
私は大方先が見えていると考えます。
どちらにしても、
ヨイショ寄生ライターの浅妻さんの罪は軽くはないでしょう。