第844回 軽井沢へ移転して生き延びた、タムラ 1

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  • 2005年12月13日(火)
西麻布のフレンチ「ラフェドール」が軽井沢に移転し、
小山薫堂氏の不自然なまでの強力な後押しで人気店となった
「エルミタージュ ドゥ タムラ」。
しかし、前店での閑散さを知る人、
そして何より当時の料理を食べた事がある人が
どれほど居るでしょうか。
いや、当時の「ラフェドール」自体を知っている人が
そんなに居るとは思えません。
西麻布3丁目の突き当たりのような路地にひっそりと営業していて、
確かに立地は良くなかったかもしれません。
しかし、料理が良いかは別にして、あの一応人気店である、
小泉さんも訪問して評判を下げたと
私が考える「アクアパッツァ」も隣にあったわけですから、
客入りの悪さは立地のせいだけではなかったでしょう。
最期には、あるワインスクールと提携して、
生徒が訪問したら
オマケをだすようなサービスをしていたそうですが、
焼け石に水だったかも。
実際私は何回か訪問しましたが、かなり閑古鳥が飛び回っており、
料理もまったく印象に残るものはなかった。
同じ西麻布でも、まだ「クリニャンクール」の方が
ましだったと言えるでしょう。

それが、軽井沢へ移転して、
地元の野菜を中心にした食材を採用するだけで、
同じ料理人でも
以前と違って魅力的な料理を造る事ができるものなのでしょうか。
料理人の腕は、あるていどベテランになってしまっては、
10分やそこら、いや数年で驚くべき進歩をとげるとは思えません。
よってわざわざ行くべき店ではないだろうと疑問に思い、
訪問を躊躇っていたのですが、
最近分店まで出したと聞き、今夏私は重い腰を上げました。
軽井沢駅からタクシーで10分、
別荘風の一軒屋は、確かに雰囲気はいい。
ホールの他に個室が二つあるようです。
料理は昼夜同じで8千円と1万2千円の2コースのみ。
量と食材の違いのようですが、
2種に絞る事により、仕入れ、仕込みと手間が省けます。
歩留まりの問題も解決。
我々は一回勝負と考え、高額コースを迷わず予約しました。

<明日につづく>