第817回 天一の3倍の価値がある訳がない、天一山 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 2005年11月16日(水)
ウエーティングでは食前酒として甘いキールを出してきますが、
酒飲みには食欲が減退してつらい。
この段階で、私は拘りを持たない店ではないか、
価格並みには期待できないと感じました。

個室は3部屋あるようですが、
掘り炬燵式で女性2人が脇にぴったり密着。
エプロン、オシボリ、そしてお酒と
すべてやってくれる料亭サービスには
満足というより会話も筒抜けで落ち着きません。

付き出しや沢煮庵など傑出さを感じませんでしたが、
質の良い車海老の造りを食べ終わる頃、揚げ手が登場します。
聞けばやはり「天一山」専門の職人ではなく、
階下の「天一」の料理長だとのこと。
寸前までは下で揚げていたのでしょうか。
並べられた食材は、野菜を含めて色、形と
その質の高さがわかりますが、
同じ「天一」の仕入れルートで、
3倍の価値がある食材を入手する事が出来るのでしょうか。
食材はどれも他店とあまり変わらない食材で、
質だけで3倍になるものではありません。
勿論、量が3倍になるわけでもない。

海老は2尾、ホタテ、牡蠣、キス、穴子と
確かに身も厚く胡麻油主体で揚げられた天麩羅は悪くはありません。
しかし、その他はタラバが出るくらいで、
野菜はじめ質は良いでしょうが掻揚げを入れて全部で17品ほど。
別室で果物と和菓子が出ますが、
価格の割に満腹感もなく、これでなぜ一人4万8千円なのか。
CPは最悪と考えます。せいぜい3万円でしょう。

<結論>
夜はなんとお酒を入れて一人6万円。
揚げ手も仕入れルートも天一本店。
支払額3倍の価値はまったくありません。
参考に貰った領収書は、「天一本店」となっておりました。
貸切に近い営業システム、
ぴったり張り付いた女性スタッフの
痒いところにすぐ手が届く過剰なサービス、
「天一」というブランドと価格が
高いからおいしいだろうとの最初からの思い込み、
これらが若き来栖王様の判断を誤らせたと私は考えます。