第810回 銀座移転は今のところ成功だ、鮨 水谷 2

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  • 2005年11月9日(水)
地番は銀座なれど最寄駅である新橋から徒歩で数分、
いわゆる飲み屋専門ビルの地下にあります。
カウンター10席ほどで、握り手は主人一人ですが、
奥さん以外に弟子を受け入れたのも銀座対策なのでしょう。
主人も以前より丸くなったようで、
昔は聞けなかった客との軽口も出ています。

タネはどれも上レベル、酢飯も私好みでかなり強めです。
煮キリ、生姜も男性的で力強い。
鮪の旨みと酸味、強めに〆たコハダなどに
この酢飯、煮キリ、生姜はドンピシャリ。
いくらでも食べ続けられると思うくらい相性が良い。

最近の高級鮨屋が、タネ質を中心にかなりレベルアップしたため、
「すきやばし 次郎」の鮨が目立たなくなって久しいこの頃、
タネ質、仕事、握り、そして価格と、
私は都内の鮨屋で現在すべてにバランスの取れた店がこの
「鮨 水谷」であると考えます。

「お任せ」主体で、昼は握りだけで1万5千円程度、
夜はツマミを頼んで2万数千円(いずれも酒代不含)と
本家の「次郎」の半値とまではいきませんがかなり安い。
海老がやや小振りで
既に茹あげていて冷たいなどの不満がありますが、
しっかりした江戸前鮨が食べたい人は一食の価値あり。
夜はあらかじめ予約をしなくては駄目なようですが、
昼は直前でも入店する事ができる場合もあります。
昼夜の質差を感じず、
もともと「すきやばし 次郎」式で
ツマミに重きを置いていませんから、
お酒を飲まれないなら昼時がお勧めです。
本家と違って、
握りだけで20分で出なければならないプレッシャーはありません。

<結論>
夜はかなりゆっくり食べられます。
この食後感、価格を考えると、
至近距離の「すきやばし 次郎」へ行く必要はありません。
友里今一番のお勧め鮨屋です。
冷酒は本家と同じく金粉入りの「カモヅル」。
燗酒も含めてかなり頼んでも、
本家のような不明瞭な請求は受けません。