第774回 やはり地元のフグは格別、い津み 1

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  • 2005年10月4日(火)
和食における冬の高級食材は松葉蟹にトラフグでしょうか。
新鮮さが第一の松葉蟹は、地元で食べるのが一番、
東京でおいしい松葉蟹を食べるのは不可能と良く言われます。
京都でさえも新鮮な有名港で水揚げされるブランド松葉蟹、
例えば「間人蟹」(たいざがに)などには
なかなか巡り合うことはできません。
しかし、フグは〆てから
しばし寝かして食べる方がはるかに旨いと言われています。
その場で〆たフグを看板にしている店が
今尚存在しているのが不思議なのですが、
逆を言えば東京でも
地元の店と変わらない味を提供できるのではないかと
私は思っておりました。
東京で屈指の請求額である六本木「味満ん」、
そして銀座の「福治」など
マル(1匹丸ごと)ではなくミガキ(解体したもの)で
よい質の物を仕入れる東京のフグ屋で私は満足していたのですが、
昨年地元の店に行き考えが変わりました。

旬になるとわざわざ博多迄食べに行くという知人の紹介で、
たまたま出張のついでに寄った「博多 い津み」。
福岡駅から乗ったタクシーの運転手は
「料亭」と表現しておりました。
確かに、玄関はかなり重厚な構えで高級感があります。
しかし、周りを良く見てみると意外にも、この店は
かなり老朽化したマンションの1階部分であることがわかります。
脇のマンション入り口はかなり狭くて雑然としています。
古い建て屋の張り出した1階部分を改装しただけのものでした。

ホールは6卓と思ったより小さいようですが、
個室や座敷があるようでかなり余裕のスペース。
ホールの椅子は軽くて浅いため座りにくく、
長居を考えていないのが残念。
主にコース制で、天然トラフグが26250円、
蓄養(天然の幼魚を育てたもの)が15750円と2種ありますが、
ここ迄来たら迷わず天然物でしょう。

<明日につづく>