第761回 なぜグルメ本を出したがるのか? 2

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  • 2005年9月21日(水)
グルメ本に限らず「本」を出すということは
なかなか簡単なことではない、
凄いことだという考えがまだあるのでしょうか。
確かに私も3年前、グラフ社から執筆依頼が来た時、
最初は半信半疑、かなり舞い上がってしまったと記憶しています。
誰に頼まれた訳でもなく、何年も知人たちへ「店の評価」を
自分では面白おかしく書いたつもりで送り続けていましたが、
冗談では「本を出したらどうか」と言われても
その術をしらない私には、まさに出版は雲の上の話だったのです。
よく「自費出版」ではないかとネットで言われていると聞きました。

なかなか素人が出版できる機会に恵まれるはずがないとの考えから、
そのような話がでるのでしょうが、今は出版不況の時代です。
昔のような大ベストセラーなど望むこともできず、
かなりのビッグネーム、昔のベストセラー作家でも、
一部の大御所を除いて、初版の部数は抑えられているようです。
ベストセラーといわれる部数は
昔とでは桁が一つ少なくなったとも聞きました。
年に数万種の本が出版されるようですが、
そのほとんどが増刷されずに終わっているとも聞きました。
リスクを減らすため、
初版部数も2千やそこらに抑えているものが多いとも聞いています。
平均すると発行部数は増刷も含めて総計で3千刷いっていないと
出版関係者から聞いた記憶があります。
よって生き残りを賭けて、
出版社は色々なコンテンツを探しているのが実情です。
換言すれば、昔は声をかけなかった企画や人にまで、駄目もとで、
もしくは意外性を狙って執筆依頼をしてくることになるのです。

たまたま配信していた私のレポートを
出版社役員と伝手のある方に知人夫妻が見せ、
その役員から会社に企画立案されて承認され、
執筆依頼がきただけのことです。
まったく無名の人間に、出版社が
「本を出しませんか?」と言ってきたのは事実でありまして、
ただその仲介をとっていただいた方、つまりそういったものを
「コネ」というならば私もコネで出版したと言うことになります。
執筆料、取材費、交際接待費は一切なし、
しかし自費出版ではなく刷った分だけ後で印税が振り込まれる、
これが契約の実態ですが、
おそらく「美食の王様」の来栖けい氏も同じような経緯でしょう。
麻生玲央氏とグラフ社が
どのような経緯で繋がったかはしりませんが、
活動地域が異なりますし
両者にはじめからコネがあったとは思えません。
大御所のマスヒロさんや犬養さんは
印税契約なのか執筆料契約なのかわかりません。
また、「東京最高のレストラン」は執筆者が多すぎるので
印税契約ではあの刷数では行き渡らないでしょう。
おそらく執筆料契約だと想像します。
今をときめく浅見帆帆子氏も、
最初は仲介者をとおしてグラフ社と知り合って
日記を出版(これは売れなかったはず)、
2冊目の「あなたは絶対!運がいい」
でブレイクしたと聞いております。
人気作家でも最初は素人、出版のきっかけとはこんなものです。
出版社へ紹介してくれる人(コネ)の存在、
または企画を持ち込んでの売り込み、
自費出版でない本はこのような方法だけだと思います。

グルメ本はそんなに売れません。
あの全国の鮨屋が参考にしたといわれる
「すきやばし次郎 旬を握る 」でさえ、
文庫本をいれて数万部にしか到達していないとも聞いています。
わざわざ自費出版するものではなく、
印税バックも期待できないグルメ本の出版は、
著者の「自己顕示欲」、「自己満足」、「拝金、上昇志向」、
「ミーハー志向」の満たし以外の何物でもありません。
これを言っては怒られるでしょうが、
邱さんのHPの各コラムを担当されている他の執筆者の方々も、
多かれ少なかれ同じようなものだと考えます。
Dr.ユウキさん、こんなもんで如何でしょうか。
出版の経緯なんて、隠すほどのものではない、
まったく大したことではないもの、出会い頭みたいなものなんです。