第737回 ワインの諸々 69ワイン通の自慢話 4 ついには持ち物自慢にまで
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- 2005年8月28日(日)
今までは、「飲んだワイン自慢」、「所蔵ワイン自慢」、
「畑やメーカーへ行ったことある自慢」
などワインそのものに関する自慢話を述べてきました。
しかし、毎月のワイン会、
多い人なら掛け持ちで月に何回も出席し続けますと、
話し相手も重複するようになり、
さすがにこれだけでは自慢するネタは尽きてくることになります。
だいたい自慢する人は声が大きく、
どちらかというと心臓に毛が生えているというか、
僕ちゃんが僕ちゃんが・・・という自己中心的な方が多い。
隣の人だけへの自慢では飽き足らず、
そのテーブル、ひいては会に参加の人たちすべてに
自慢話を聞いてもらいたいのか
と思えるがごとくの大声でしゃべりますから、
さすがに自慢ネタも聞き飽きることになるでしょう。
また、逆に自慢話をけん制する意味で、
対抗してギャフンと言わせて黙らしたい人もいるようです。
どちらの場合でも、ワインだけではネタ不足になった場合、
私の経験では、必ず彼らは持ち物自慢に突入しています。
元来、ワイン好きでよく飲む、集める、訪問することが出来る人は、
ある程度の余裕が必要です。
日本に限らず世界的傾向だと思いますが、
ワイン好きには自由業者の方が多いのではないでしょうか。
自営や経営者もいるでしょうが、
医者、弁護士、デザイナーの方などの比率がかなり高い。
何度も書いていますが、
世界的に有名なワイン評論家のパーカー氏の前職は弁護士です。
日本でもワイン業界の重鎮は、
山本弁護士や空間デザイナーの糀谷さんなど自由業者が多く、
アカデミー デュ ヴァンという
老舗のワインスクールの校長だった方も認定ソムリエですが、
確か本業は医者だったはず。
余裕のある方全員ではありませんが、
今で言うセレブな方がワイン以外に奔るのが
高級ブランド品などではないかと思います。
石を投げればベンツに当たるこのご時世、
そうは車で差別化、自慢はできません。
飲みながらその場で見せられるわけでもないし。
私が色々うかがったなかでのブランド自慢では、
身に着ける小物が多かったように記憶しています。
今はもうピークを打ったでしょうが、例えば腕時計。
一時の機械式時計のブームは凄いものがありました。
私の若い頃、クオーツが機械式を駆逐したと思っていたのですが、
いつの間にやら、機械式でなければ腕時計にあらず、
といった風潮に戻ってしまいました。
またその価格が半端ではありません。
今ではちょっとつけるのが気恥ずかしい感じもしますが、
そういう方の手首にはお約束の
「フランク ミュラー」の馬鹿でかいトノーが輝いていたものです。
その他、3大ブランドだ、複雑機械式だ、
と色々なメーカーと機能の時計(これが全然覚えられません)が
でてきて、最後には「畑行った自慢」ではなく
「バーゼル フェアへ行った自慢」で落ち着きます。
勿論、「人を見るには足元をまず見ろ」と教えてもらった人の靴は、
桁の違うオーダーメードのモノであり、
思わず私のボンステップをその場で脱ぎ捨てたくなったものです。
「人の足元を見る」とは確かに良く言ったものだと、
それを機会に人と会うときや会合の時は
それなりに靴に気を使うようになりました。
ワイン会に出席して為になった私の数少ない事例の一つであります。
3つ星レストラン行った自慢、
こんな凄い有名なホテル泊まった自慢など、
ブランド自慢はつきません。
ワイン好きは、ある意味ミーハーで自己顕示欲の強い人
(私も含めて)が多いという証左といえるでしょう。