第728回 ワインの諸々 68ワイン通の自慢話 3 行った畑自慢
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- 2005年8月7日(日)
「どこそこの畑やドメーヌ、シャトーへ行った事がある」
自慢ではないでしょうか。
ブルゴーニュへ行った人なら必ず寄るであろう
「ロマネ コンティ」畑を筆頭に、
ドメーヌ(ブルゴーニュのブドウからワインまで一貫生産の
比較的小規模な造り手)ならば、
日本のインポーターやワインショップのツテを頼りに
有名造り手への訪問。
しかし先週述べたカリスマ造り手といわれるドメーヌへの訪問は
なかなか実現できません。
よほどのコネがないかぎり、どちらかというと大手ネゴシアン
(ブドウをよそからも大量に買い付けてのワイン造りや
ワインそのものも買ってくる大手メーカー)や
中堅ドメーヌに限定されてしまいます。
ボルドーのシャトーでは、
マルゴーとペトリュスが人気の筆頭でしょうか。
事前にアポをとるとか、現地で個人ガイドを雇うことをすれば、
ブルゴーニュよりは楽に訪問する事は出来るはずですが、
それでも誰でも簡単に行く事はできません。
つまり、こんな畑へ行った事がある、
こんなドメーヌへいってワインを試飲した事がある、
「シャトー マルゴー」はじめこんなシャトーを訪問した、
といった珍しさと数がこの手の自慢の基本です。
ただ、ブルゴーニュの畑へは誰でも近づく事ができますから、
「ロマネ コンティ」を見ただけでは
ブルゴーニュを訪問した人に対して
アドヴァンテージを持つ事は出来ない。
だからといって、
「ロマネ コンティのブドウをかじってきた」
といった本当はしてはいけない、日本の評判を落とすような自慢は
しかし感心できません。
確かに最初に畑やシャトーへ行った時は
誰でも嬉しく興奮するものです。
本では見たことあるけどブドウの木はこんなものなのかと喜び、
小規模なドメーヌと大規模なシャトーでの醸造の説明や、
セラー見学、そして樽やボトルからの試飲は
話のタネになるのは間違いありません。
でも、そう何回も、毎年いくほどのものなのかどうか。
ワインショップ経営者やインポーターなどその道のプロならば、
毎年そして色々な所への訪問は
箔付けになる営業効果が期待できます。
でも、普通のワイン好きだったら、
どの畑もたいして違いを見出せないでしょうし、
毎年、前年の若いワインを樽から飲んでも
そうは違いがわかりませんし、私は嬉しく感じません。
そんな暇があったら、
地方を含めておいしそうなレストランを物色してまわった方が
自慢できるのではないかと最近は思っております。
ワインショップやワインスクールでは、
毎年、もしくは隔年で
シャトーやドメーヌ巡りのツアーを企画していますが、
そこには必ずオプションかもしれませんが、
有名レストランなどでの会食の企画が盛り込まれております。
そうなんです。
最近はマスコミの影響が大だからか、
3つ星をはじめ、星付レストランへの訪問自慢の方が
ワイン会などでは幅を利かしているようです。