第717回 勘違い移転で実力露見か、直城 2

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  • 2005年7月27日(水)
フード・レストランジャーナリストたちは
盛んにシェフが本場四川の現地で1年修業してきたことを書き、
よって読者に素晴らしい料理を提供するとの
錯覚を与え続けています。
確かにフレンチやイタリアンと違って、日本の料理人が
中国本場で修業するのはまだ珍しいかもしれませんが、
そのわずか1年でどれほどの成果があげられるものなのか。
イタリアやフランスだったら、
1年だけの修業では宣伝効果にならないだけに、
彼らの異常な肩入れが気になります。

オープンキッチンにシェフをいれて男性は3名、
ホールは修業時代に知り合ったというのがウリの
中国出身のマダムともう1名。
13卓と個室などがあり総計30名ほどもキャパだと思います。
町田の時は、単品料理とコースを併用していましたが、
麺を頼む客とコースの客が重なってやりにくかったとして
この店では、5250円のコース1種で勝負してきました。
しかし、私は町田の店に何回か行きましたが、
我々以外コースを頼んでいる客を見かけませんでした。
場所柄ほとんどの客は単品を頼んでいたはずで、
それほどやりにくかったのでしょうか。
単に、コース1種に絞って、
手間と食材の節約を狙ってきたと推測せざるを得ません。

コースは冷菜を含めて7皿にスープとデザート。
ご飯ものが選択性で、麻婆豆腐か麻婆茄子とチャーハンのどちらか。
野菜炒めの時もありました。

一皿一皿は量も少なく、よって総量もかなり控えめ。
二人分をあわせてもこんな少量を鍋で都度調理ができるのか、
造り置きではないかと疑ってしまうほど物足りません。
冷菜の3品は「しったか」やタコ、鶏や豚、
キュウリやジャガイモ、と海産、肉系、野菜とわけているようですが
どこでも食べられるもの。
そして一番の問題は、コース料理の良さがでていないことです。
四川料理は、麻、辣、甘、辛、酸、熱、冷、香など
メリハリきかした料理の組合せだと思うのですが、
各皿四川風とは称していますが、
四川唐辛子、花椒を使っているようですが
すべて中途半端なチョイ辛なもので、
まったくメリハリがありません。
緩い料理、同じトーンの皿が続くのです。
少なくとも夜2回の訪問で、酸味を押し出した皿には出会えず、
ライチを使った甘辛はありましたが、
他は食材がかわるだけで一本調子が続くといっていいでしょう。
しかもどれも傑出した旨さや特徴を感じません。
量も足りないのではないでしょうか。
女性と二人でも、坦々麺を追加してようやくお腹が満足、
しかしその坦々面も緩いもので、
四川料理専門店としては満足できるレベルではありませんでした。

しかし、ランチで麻婆豆腐を食べて驚きました。
夜より辛く痺れるものだったのです。
各料理1200円前後と高い値付けで、野菜やオードブル、点心と
各300~400円で追加できるシステム。
この住宅街ではかなり高いと思うのですが、
結構客が入っているのですからわからないものです。

生ビール600円、花彫紹興酒2700円と酒類は安め。
ワインも置いているようです。
そういえば大谷さんは店でワインを飲んでいましたね。
問題のシェフの娘さんの「お出まし」はやはりありました。
厨房横のドアが開いて店を覗いていましたが、
シェフ一家の住居が店と隣接しているのでしょうか。
だとすると、彼らの居住地の地代も売価に乗ってくるのかどうか、
ちょっと疑問です。

<結論>
大谷さん、梅谷さん、犬養さんと
最強煽り軍団のバックアップよろしく、
今のところそこそこ客入りはあるようですが、
四川料理の名店との先入観を与えられて入店、
しかし満足して帰る客がいるのでしょうか。
多少高くなりますが、近くの都ホテルの「四川」の方が
CP含めてまだ満足な「四川料理」を提供すると考えます。
でも未だこの地でよかったかも。
銀座なら簡単に埋没してしまうでしょう。