第715回 友里を踏み台にしていただきたい

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 2005年7月25日(月)
第635回のコラムで、
マスヒロさんが王様・来栖けい氏を
踏み台にしているではないかと書きました。
自分の後継者と最初は持ち上げながら、彼のお勧め店へ行っては、
やれ酢飯が問題外でこれじゃ鮨じゃない、
なまこの筋肉はスペイン本場ではもっとヨード香があるぞ、
なんだスペインへ行ったことないのか、
といった文調の食べ歩き日記を掲載してしまうのですから、
どこが後継者と認めているのか。
自分のテリトリーの「次郎」や「みかわ」へ連れて行って、
「どうだ、これが酢飯でありゴッドハンドだ、
これが白魚の天麩羅だ、天才天麩羅職人だ」
と諭すことも忘れていません。
酢飯の良し悪しもわからないじゃないか、と言っているのに、
なぜその人が後継者なのか。
マスヒロさんも若い頃は
酢飯をはじめ何もわかっていなかったけど店評価を続け、
今では第一人者になったということを教えているのでしょうか。
それでも自分を超える若者だということは
逆にマスヒロさんはその程度なのか、と突っ込みたくなります。
要は、世に出てきた若い芽の頭を早めに叩いて押さえつけ、
序列があることを示したいがための、飴と鞭の使い分けで、
最終的には王様を出汁に使って更に目立ちたかったのだと思います。

そこで、知名度はないですがこの際、
ぜひこの友里もマスヒロさんの踏み台にしていただきたいと思い、
ここに申し出ます。
マスヒロさんと友里が一緒に色々な店を食べ歩き、
マスヒロさんの豊富な偏った知識や経験、
そして品ない自慢話と寒いジョークを友里に浴びせ続けて
平伏させるのです。
後継者といっていただかなくて結構ですから、
まずは「すきやばし 次郎」、「みかわ」、「野田岩」
などへ連れて行ってもらいたいですね。
お支払いは割り勘で結構ですけど。
そこで、
これが日本最高と煽られその気になった職人の握りとタネだ、
天才だと持ち上げられて同じく勘違いしてしまった職人の天麩羅だ、
これが客はもくもくと天然と勘違いして食べている養殖の鰻だ、
ワインの知識なんて料理評論にはまったく関係ない、
飲まなくても食べられるのが真の料理評論家だと、
友里を諭すのではいかがでしょうか。

「自分は外食費を全額経費でおとすような度胸はありませんし、
それを自慢する勇気もありません。
プロデュースした店を堂々と
TVで宣伝するなどの発想も浮かびません。
読者に食事会を募って、割高な会費を取るような
したたかな営業センスもありません。
ワインの古酒に若いワインを混ぜるような
天才的なヒラメキも浮かばない凡人です」
と友里は全面屈服すること間違いないと思います。
スタンドカラーのシャツや
変なジャケットを着続ける根気もないですし。
マスヒロさんにはぜひぜひ、王様だけではなく
この友里をも踏み台にして
よりのし上がっていただきたいと思います。