第695回 高いからおいしいのは当たり前か、祇園 丸山 1

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  • 2005年7月5日(火)
6月からの京料理といいますと、鮎と鱧が主体でしょうか。
夏はフレンチ、イタリアンとこれといった食材が見当たりません。
気候の問題もあり、
あまりコテコテの欧州系の料理は難しいと思うのですが、
和食の場合はそれほど食材に渇枯しないようです。
鮎、鱧以外にも和食や鮨では、
シマアジ、アワビなども旬を迎えます。
季節的な儀式で、
本当においしいかどうか疑問の「シンコ」も人気の鮨タネですね。
ただ、これらの食材には旬という時期だけでなく、
食べる場所にも制約があるのではないかと。
以前私は、大阪や京都の和食で最近は必ず出てくる「鮪」に対し、
たいした質ではないのだから、わざわざ関西で出すものなのか、
と問題提起しました。
どんな高級店、高額店に行っても
レベルは東京に比べるとかなり低く感じます。
それに対して、読者の方からは、
東京で「鱧」や「鮎」、「マツタケ」
そして「松葉蟹」をわざわざ食べる価値があるのか、
と逆襲をくらいました。
いずれも鮮度や質が大きく左右する食材。
流通が発達したといっても地元とはかなり時間差があり、
また、地元高級店並の質の食材がわざわざ東京まで回ってくるか、
といった疑問であります。
返す言葉もなく、ご指摘のとおり。
地元の良店には敵うはずがないでしょう。

さて、この夏を乗り切ると、
秋から冬にかけては、和洋を問わず
料理店は食材にもっとも恵まれた時期に入ります。
フレンチやイタリアンでは、白トリュフをはじめ各種茸にジビエが、
和食、特に京料理では、10月はマツタケ、
11月の解禁日になれば松葉蟹でしょうか。
それを楽しみにわざわざ京都へ出かける、
もしくは本場物をいち早く仕入れる
東京の高級和食店へ出向く方が多いと思います。
若狭のグジも美味しい季節となります。
今回のレポートは昨年末の訪問のものです。
この年末にかけての料理店訪問の参考にしていただければ幸いです。

今回私的な旅行の際、
どうせ食べるなら本場の松葉蟹を食べたいと考え、
京都の和食を色々調べてみました。
松葉蟹、特にその中でもブランド力のある
間人(たいざ)港で水揚げされる
「間人蟹」を出す店を探したのです。
本来はそのものずばり、
間人港の旅館で食べるのがベストなのでしょうけど、
京都からでも丹後鉄道で2時間あまりの地。
そう簡単にはいけません。

京都で直ぐに思いつくのは、和久傳の高台寺本店。
しかし、少人数で個室は割高で寂しい、
そして何より4万円はかかるであろう費用に断念、
その元料理長の店である
これまた有名な「祇園 丸山」に行くことに決めました。
建仁寺にも分店を出したくらい有名で繁盛店。
カウンターがありますが、グレードは祇園店の方が高いそうです。
予約時に間人蟹を問い合わせると、
焼き蟹が入ったコースが2万5千円。
蒸し蟹(実際は茹で蟹)が加わって3万円、
そしてよくわからない4万円のコースまであります。
風情のある祇園の路地を入った一軒屋風。
靴を脱いでのカウンターというのも何やら京都風。
7席ほどですが、席間がせまく、残念ながらやや窮屈に感じました。

<明日につづく>