第68回 ソムリエの実力・実態 その7冷したワインがなかなか出てこない
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- 2003年7月25日(金)
それはレストランでの食事でも言えることです。
食べ終わると同時にすぐ皿を下げたがるのもイヤですが、
放置されっぱなしもいけません。
そして「アッカ」のように
次の皿がなかなか出てこないのも問題です。
料理のタイミングは重要ですが、ワインに関しても同じです。
席に着くとだいたい食前酒を勧められます。
グラスシャンパーニュなどの場合は
あらかじめ抜栓して冷していますので、すぐ供給が出来ます。
でも、人数が4人以上の場合は、
リストから安いノンヴィンテージのシャンパーニュを
頼んだ方が結果安くあがる場合があります。
そのような時、最近すばやく出てこない店が多いのです。
5分やそこらで文句を言っているのではありません。
10分、15分とでてこない場合があります。
今日はなんの料理を頼もうかとメニューを見て選ぶのは、
食事の楽しみの一つです。
ある程度時間をかけて選びたいものです。
そんなとき、片手にシャンパーニュがあれば落ち着くのですが、
ボトルがでてこないと手持ち無沙汰ですね。
理由は簡単。
頼んだボトルを探して遅くなったのではなく、
冷すのに時間がかかっているからのようです。
通常、シャンパーニュを含めて
ワインはセラーに保管されています。
店のポリシーにもよりますが、15度前後だと思っていたのですが、
最近設定温度を上げている店が多いのです。
氷の入ったソー(バケツ)に入れると、何分で何度下がるか、
といった簡単な計算式があります。
それから逆算して考えるとやはり温度が高いはず。
ワインは、物によって提供温度が変わってきます。
格や古さにもよりますが、一般に赤ワインは18度前後、
白は12~14度、シャンパーニュは10度前後でしょうか。
熟成感のあるワインはこれらの温度より高くするのですが、
多分レストランは一番売れるであろう
赤ワインに絞ってセラーの温度設定をしているのでしょう。
ワインは温度を下げるより、上げるほうに時間がかかるからです。
加熱できませんから。
かくしてシャンパーニュの場合は8度近くの
温度降下をさせなければならなくなるのです。
「カーヴ ドゥ ジュール」といって、
その日に飲まれるであろうワインをスタンバイさせておく
保管室があるならば、セラー自体の温度を下げておいて、
赤ワインだけ移し変えることができます。
でも、客がどのワインを頼むか予測ができませんし、
この設備を備えるのはスペース、費用とも負担がかかります。
やはり、大人数でも、割高承知でグラスシャンパーニュを頼め、と
いうことになるのでしょうか。