第672回 ワインの諸々 その604~5千円でも店でブルゴーニュが飲める!

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  • 2005年6月12日(日)
ワインブームも一山過ぎたというか、
落ち着いてきてしまったからでしょうか、
ボルドーなどの価格は一時ほどの値付けの高さを感じず、
購入しやすくなってきたと感じるこのごろですが、
ブルゴーニュ、特に赤ワインは
いっこうに値が下がってきたとは感じません。
数千円以内で、デイリーとしてブルゴーニュの赤を飲むのは
非常に難しくなってきているのではないでしょうか。
ネットなどの無店舗販売でも、数千円の値付けでは、
「パスツゥー グラン」といった
ピノノワールに格下のガメイ種を加えたものでなければ
ブルゴーニュものはなかなかみつけられません。
デイリーはほとんどイタリア物になってしまっている友里ですが、
先日訪れた店でのワインの値段にびっくりしました。

西麻布の「に萬」。
フードライターの小石原女史のご母堂様がやっていると聞きました、
家庭料理の店でのことです。
「萬」というワインバーの分店ということでしたが、
この店にはワインに詳しいスタッフがいないのか、
それともワインに拘る客が来ないからなのか、
ワインリストには、ヴィンテージや造り手が表記されていません。
「ピノノワール」と品種名の表記で4千円。
品種表記はAOC物ではないのでテーブルワインか、
せいぜいブルゴーニュという名の「地方ワイン」かと推測。
しかし予算を抑えたかったので仕方なく頼んだのですが、
出てきたワインを見てびっくりしました。
「サントネイ」という村名で、
1級畑ではなかったですが畑名まで明記されていたのです。
味わいは4千円としてはかなりCPの良いもの、
リストの「ピノノワール」表記の第一印象とはまったく違います。
4千円でブルゴーニュの村名ワインが未だ飲食店で飲めるのか、
とびっくりしたのですが、
まだまだ安いブルゴーニュがあるということなのでしょう。
リストの表記をちゃんとすれば、
ちょっとワインを知っている人なら頼むであろう良心的な価格です。

これが、同じ飲食店でも、「トトキ」になりますと
村名ワインでも1万円を超えているのですから、
店側のワイン選びや、良心的な値付けをするかどうかというのは、
非常に大きな問題だと考えます。
しかし、料理はあくまで家庭料理の範疇、5千円コースといえども、
とりたてて再訪したいと思わなかった調理と質だったことを
付け加えさせていただきます。

先日も「北島亭」でかなり安い値付けのワインを見かけました。
ブルゴーニュのカリスマ造り手のワインが村名で1万円強、
1級畑でも他の造り手のワインは1万円を切っていました。
「トトキ」にも見習ってほしい営業姿勢ですが、
あまり知られてしまうと飲みつくされてしまいそうで、
せこい私は心配です。