第666回 節税を自慢するのはいかがなものか、マスヒロさん 1

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  • 2005年6月6日(月)
読者の方からのメールで知りました。
「ダイヤモンドザイ 7月号」というマネー雑誌で、
マスヒロさんが対談にでているが、
その全編に亘る自慢話と傲慢さに呆れてしまったというものでした。
なんと、最近はマネー雑誌からもお呼びがかかるほど
メジャー化してしまったのかと驚き、
早速購入してみて私も呆れてしまいました。
副題のようなものが出ているのですが、それには大きく
「外食費が全て経費で落とせるのは
日本でもたぶん僕だけでしょうね」
とあるのです。

以前から講演で、ラーメン代まで領収書で落とせるというような
発言をしているとは聞いていましたが、
堂々と外食費をすべて経費扱いで「節税」していることを
自慢のごとく公言するその神経に驚いたのです。
また、フレンチ、イタリアン、中華は
2人分まで経費扱いを認めてくれるが、
鮨、蕎麦、天麩羅は1人分しか駄目で、ちょっと不満げな発言も。
最近話題の日本一高額所得者であるサラリーマン部長は、
ケイマンなどタックスヘブンでの節税を潔しとせず、
すべて申告したそうですから、
両者はまったく志が違うタイプといえるでしょう。

確かに料理評論を生業としているので、
食事代は経費だと言えないわけではありません。
しかし、厳密に言えば、料理評論をしなくても
外食費や日々の食事の際の食材費はかかるわけですから、
すべて落とすのではなく、
その通常の生活分は経費にならないのではないか。
まして、フレンチやイタリアン、中華は一人で行きにくいので
2人分まで経費扱いになると言いたいのでしょうが、
それは甘いのではないかと。
税金対策でマスヒロジャパンという会社をつくり、
料理評論家としての収入やコンサル料をそこへ入れ、
会社から自分や恐らく親族にも給与を出して、
外食費などはすべて経費扱い。しかも2人分も。
税の公平性は言うまでもありません。
当局としては、しっかり見解を出していただきたいものです。

ここまで書いたら、
自分の事もはっきりしておかなければならないでしょう。
かくいう私も、印税や夕刊紙の執筆料で
ごくわずかな副収入があります。
今年になってからは、
2月で夕刊紙のコラムが休載していますので、
それ以降はありません。私の生活は本業からの給与所得です。
執筆に対する取材ということで、
明細を黙っていても渡してくれる店や、
支払いを覚えている店の場合、
連れの分を支払っていても一人分は集計しています。
当然キャッシュフロー的には、
1人分でも副収入にくらべて出費が多く、
大赤字になっていますので、
申告の際はそれを述べて
副業分の課税はゼロにしてもらっていますが、
彼のように本業をここまで節税してしまっていいものなのかどうか。

例えば、私の会社の定款をちょっといじって、
料理店評価や講演、コンサルを加えたとします。
そして印税や原稿料を会社に入金しさえすれば、
私も外食費をすべて経費扱いにできるということでしょうか。
本業の節税ができるのかどうか。
徴税の公平性からいって、山本氏ができて、
他の人が出来ないはずがありません。
山本益博氏ができるならば、犬養女史をはじめ、
有名なフード・レストランジャーナリストたちも、
外食費は全額経費で落とせるはずです。
ではなぜ、山本益博氏しか全額外食費を経費で落とせないのか。
納税は原則公平が建前ですから、
山本氏だけ特別扱いはおかしいと考えます。
「日本では私しかできない」となぜ自慢できるのか、
料理店だけでなく、税務署、つまり徴税機関も
マスヒロさんだけ特別扱いしているというのならば、
問題であると考えます。

<明日に続く>