第663回 支離滅裂か、「伝統と現代」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 2005年6月3日(金)
先日のコラムで、マスヒロさんが
古くからあるフレンチなどに食指を伸ばしてきたと触れました。
なにか魂胆があるのではないかと。
「食べ歩き手帳」を読んでなんとなくわかりました。
友里ほどではないにしても、
彼はネタ不足に陥っているのではないでしょうか。
今年の彼のテーマは「伝統と現代」だそうです。
垢抜けない、そしてありふれたネーミングで笑ってしまいますが、
新店、新人ばかり追いかけるメディアを批判していましたが、
昨年だか、盛んに埋もれた新人を発掘する意味で
「心の放火魔」と自称していたのを忘れてしまっているのでしょう。
特に西麻布の「シェ フィガロ」が最近お気に入りなのでしょうか、
「ア・ターブル99」でも食事会を6月29日に計画中のようです。
(5/28現在、なんらかの理由で開催店は変更されています)
しかし、30年前にはその名が知られたフレンチでしたが、
既にその使命を終えたと思っていたフィガロ。
シェフも情熱を失っているとしか思えない店内の雑然さ、
そしてスタッフのやる気のなさ。

私は拙著第一巻で取り上げようと考えたのですが、
昔と違って知名度もなく、客もまったく入っていない様子をみて、
料理が駄目だ、サービスが悪い、
と書いてもインパクトがないと判断して取りやめた経緯があります。
よくまあ、ネタ不足でもこんな店を掘り出してくるな、
と感じたのは私だけではないでしょう。

目黒にあるイタリアン「パリアッチョ」の訪問では、
「最近は、食後、結局何を食べたのか忘れてしまう料理が多いので、
シンプルなイタリア料理が食べたい」と〆ています。
しっかりした主菜を一皿味わえる
この店を褒めたかったのでしょうが、
それでは感嘆して本まで出した「エルブジ」の料理はどうなのか。
評価を変えるというのか。
30皿以上、チョイ食べの連続で、
しかも何の食材を使っているかは見た目ではわかりません。
当然、皿数が多すぎて
何を食べたかはメモを取らない限り覚えられないでしょう。
彼は、主張していること、
ポリシーの無さは今に始まったことではありませんが、
「支離滅裂度」がかなり高まってきたと判断します。

また、オープンして1年以上たってはじめて訪問したという
「レ・クレアシヨン・ド・ナリサワ」。
1段近くスペースをさいて、
いくつか料理の問題提起しているものの内容、〆は中途半端。
そして店データを欄外に掲載していないのは
どのような意図があるのでしょうか。
4行しか書いていない
「小龍」や「HUGE」でもデータを載せているというのに
なぜ「ナリサワ」はなぜ店データを端折ったのか、
公平性がみられません。
何か個人的な感情があるのかと勘ぐってしまいます。

最近は、店で自分たちだけおいしい特別料理を食べている、
といった自慢話を書かなくなりました。
多皿がいいのかボリュームを望んでいるのか、
食材をそのままの状態で使うのがいいのか
フェランの様にわからなくした方がいいのか、
王様を後継者といいながら10年早いと偉そうぶっているなど、
まったく一貫性を感じないマスヒロさん。
コウモリというか八方美人か、
人気シェフや新人に取り入って今のポジションを延命、
自分の権益を拡大したいのでしょうが、
やっていること言っている事は
まったく「支離滅裂」と感じるのは、
「純粋な読者」以外の方には多いと考えます。