第656回 友里征耶のここまで言うか その2星付きシェフよ、自分の国の食材に自信を持て

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  • 2005年5月27日(金)
652回と同じく、ネタの出所はNHKの土曜特集です。
ミシュランの元編集長も言っていたという、
「フランスのシェフは今、日本に注目している」。

パスカル・バルボは醤油、味噌など日本の調味料に注目、
白味噌ペーストなるものを造っていました。
あのポール・ボキューズは、35年前に未知な日本で、
海草などに注目してフランス人としてはじめて使ったとか。
マスヒロさんの後見人であるロブションも、
76年に初来日して懐石のお椀などから影響を受け、
シンプルさ、盛り付けなどを取り入れたといっていました。
デュカスも日本で得たものを生かす、
という様なことを言っていましたが、
日本人を舐めているのか、
日本ではコックコートは着ないと明言していると聞きましたが、
それならもっと日本人に媚を売ってもらわなければ。
ガニエールも、昆布、カツオなどの出汁に注目。
なんと、フォアグラや子羊に
スチコンを使って出汁と合わせていました。

なぜ、他国の、
普段はバカにしている極東の小さな国の食材や調味料を使うのか。
そんなものに逃げず、
自国や欧州の食材や調味料で人の舌を魅了し続けるべきだと
私は考えます。
星付きシェフよ、自国の食材に自信をもて。
フランスのグルメたちも原点に帰れと。
鮨や和食でドーバーソールやオマール、
アメリケーヌやオランディーヌを使う店には行きたくないと
日本人なら考えると思います。
あくまで、その地で他国の料理を真似て造るときは
その地の食材を使わざるを得ない場合もあるでしょうが、
わざわざ自国料理を自国で造るのに、他国の食材を使うとは・・・

なんだか今のフレンチは
おかしな方向に行っているのではないでしょうか。
ワインに合わせるため、
日本の和食店でバルサミコやオイルを使用する例は
経験したことがあります。
しかし、生命線であるお椀などの出汁に、
フレンチやイタリアンの食材や調味料を使うことは
まともな店ではないでしょう。
あっと、マスヒロ氏お勧めの
「京都 和久傳」の若い料理長はやるかもしれませんが・・・

その原因の一つに
ミシュランの星獲得の条件があるのではないかと思います。
星数によって設備などの要求も違ってくるようですが、
3つ星になるには、料理に「創造性」が求められるとか。
つまり、フランス人はじめ欧州人は、移り気なのでしょうか、
どんどん違った味の料理を追い求めるということでしょう。
コテコテの江戸前鮨を
「いつも変わらずいい仕事している」
と安心して食べ続ける日本人とは
まったく違った人種と言えるようです。

でもワインと違って、
フレンチはアメリカ人の嗜好を対象にはしていないでしょうね。
何年か前、「アルページュ」に行った際、
アメリカ人のグループのテーブルには
ケチャップの瓶が最初から置かれているのを見ました。
幹事役の人は怒って撤去させていましたが・・・
無理して3つ星レストランを予約した
一見客の日本人の席が良くないのは当たり前ですが、
私も経験しますが、
まわりは日本人とアメリカ人が主体なことからも推測できます。

私は言いたい。3つ星シェフよ、
日頃は対等とは思っていない日本人の国の食材をつかわずに、
欧州地元の食材で創造性を出してみろ、と。
もっと自国の食材に、そして自分の能力に自信を持て、と。