第65回 初訪問、「サドレル」

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  • 2003年7月22日(火)
<事前情報>
1.今年2つ星になったミラノのイタリアンの初の海外分店。
2.実際の経営は、「グラナダ」。
  ピッツァチェーンの「イゾラ」とは姉妹店。
3.料金は高いらしい。
4.ヒルズの店のなかではまだ評判が良い。

<感想、他>
立地条件
「ヒルズ」は「ヒルズ」でもはずれのゲートタワーの3階。
フロア貸し切りで、エレベータの前はすぐレセプションです。

内装
ウエーティングスペースは、赤いソファと周りにある
ガラス張りのワインセラーがアクセントになっています。
ホールはモダンイタリアンとのことですが、
こぢんまりとした南仏のイメージで、嫌味なくまとまっています。
書棚をつかってテーブルをいくつかのグループに
セパレートしています。

料理
ウエーティングで渡されたメニューは
紙製のせいか折り目が破れていました。
マネジャーがしっかり注意していないようです。
コースを主体にしているようで、
魚中心と肉中心の2コースがあり、いずれも1万6000円。
いくつかのグラスワインをセットにするとプラス7000円です。
都内でトップレベルの価格です。高い。
このような店の場合、アラカルトの値付けを高く設定して、
コースを頼ませる仕掛けを作っていることがあります。
古くは「ミクニ」がそうでした。
しかし「サドレル」は、前菜が3000円前後、
パスタも3~3500円、魚は5000円、肉は5~6000円と、
単品で3皿頼んでもコース価格を上回りません。
コースの優位性は皿数の多さだけのようです。
こういう場合は、単品料理を頼むに限ります。
第13回で述べさせていただいた理由からです。
結果としては、単品注文が功を奏したのでしょうか。
「六本木ヒルズ」の店の割に、価格を無視すれば
いずれも満足するレベルのものです。
意外。
最近はフレンチだかイタリアンだかわからない料理が多い中、
斬新な食材を使ったモダンイタリアンとの評判ですが、
私にはしっかりした味付けのイタリアンに感じました。
プリモなどは量もたっぷりで、
セコンドは猫も杓子も取り扱っている「イベリコ豚」。
これだけブレイクしたら、出荷前に食べさせる
「どんぐり」がなくなってしまうかと心配なのですが、
周りはカリカリ、中はジューシーで、火加減、塩とも満足でした。

ワイン
高い、の一言。なぜだかフランス物もありまして、
シャンパーニュの高級ものでは、
小売の4倍ほどのものもありました。
平均して小売の2~3倍。
絶対値でも、1万円を切るものが少なく、
5~6千円のワインはすべて売り切れていました。

その他
客は6割程度の入り。満席には程遠い。
1万5千円のワインといくつかのグラスワインを頼んで、
予算は2人で6万円。
都内屈指の高額イタリアンです。自腹でのリピートはきつい。

<結論>
1.最終価格を考えなければ、うまい料理の範疇です。
  ヒルズはまずいとの先入観で助かっている部分もあるかも。
2.高いワインを頼まなくても一人3万円。CPは悪い。
  お金に糸目をつけず、流行のおいしい料理を食べたい人だけに
  お勧めします。
3.ワイン好きにはむかない。飲みたいワインは高すぎて頼めず、
  欲求不満になる。
4.イタリア人のスタッフが多すぎて、
  「ボナセーラ」系のイタリアンを思い起こさせる。
  逆効果ではないか。
5.「日本料理 小山」で一人4万円だすなら、
  この店に支払った方がいいかも。