第642回 日赤通りの店にとっては救世主? 2
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- 2005年5月13日(金)
大手デベロッパーと大手ゼネコンが関与している大型物件です。
大きな赤字を抱えている日赤は、
独自で病院を建て替える資金がなく、
土地を信託することを考えたようです。
大手デベロッパーとしては「おいしい」話でしょう。
数年にわたって近辺や女学校にも秘密にして、
用意周到なプロジェクトが練られ、
今年一気に工事着工に踏み切ろうとしています。
私はこの大手デベロッパーが好きではありません。
丸ビル、交詢ビル、コレド日本橋など
一般客に無意味なCPの悪い店を産み出す
「箱物」を造り続けているからです。
計画がずさんともいえる再開発地は六本木ヒルズをはじめ
よくあります。交詢ビルもそうでしょう。
そして、この「日赤プロジェクト」も
私は最初から無理があると考えます。
誰が好き好んで、
敷地は別れているでしょうが「総合病院」に隣接した
「高額多戸数マンション」に住むでしょうか。
子供の通院に便利だ、と考える親がいるのか。
年がら年中通院するとは限りません。
逆に、病院近くということで
資産価値が低くなると敬遠する人の方が多いという事を、
この大手デベロッパーは考えていないのが不思議です。
交詢ビルの飲食店でも客が入ると安易に考えた会社ですから、
仕方ないかもしれませんが。
しかも、長期借地権付の分譲ですが、
この方式は「鳥居坂マンション」含め、
あまり高級感をもたらさず、うまくいってるように見えません。
50年という期限がありますから、
年数が経てばたつほど資産価値は償却以上に減少してしまうのは
理屈の上から当たり前です。
完全分譲ではなく、地代だけ先行支払いということで、
割安感を出すのがこの方式のウリですが、
素直に割安感を出してはデベロッパーが儲かりません。
購入者にすべての利益を還元しないのが商売のイロハですから、
中途半端な割安感をもったマンションとなるのは目に見えています。
50年後に更地にするという条件は、
50年も同じマンションに住む人は少ないでしょうが、
日本人の思考にはあいません。
総合病院隣接の長期借地権付の700世帯以上のマンション。
このキャッチで釣れる富裕な層がいると思っているのか。
マンション2007年問題も迫ってきている折、
超高級志向での高額募集では、
この立地条件では人は集まらないと考えます。
せいぜい、そこそこのレベルのマンション。
中途半端な価格の中途半端な高級感となるでしょうが、
再開発地は家賃が高くて
飲食店経営が無理なのがわかっていても
どんどん造ってくる大手デベロッパーのこと、
結果なんて考えずにひたすら邁進しているのでしょう。
しかし、対面の女学校は死活問題です。
大工事ですから、工事期間、工事車両、
作業員はかなりの数になります。
全国人気ベスト3にいつも入る制服を着た通学女子が、
多勢の工事従業者の目に晒されることになるのです。
工事は朝の8時には朝礼で始まるでしょう。
出勤まえに近くのコンビニで朝食や飲み物を購入するのが
彼ら作業員のお約束ですから、
通学女子生徒との接触は避けられません。
女子生徒の親だったら、誰もが危険を感じるのではないでしょうか。
しかも完成後も交通、治安、景観と環境がかなり悪化しますから
学校価値の下落は避けられません。
学校側は、環境問題、行政訴訟を得意とする弁護士をたてて、
なぜ日赤が巨額の赤字になったのか、
つまり赤字でなければ自前で建てられるはず、
と本来国の庇護の下にある特殊法人である
日赤経営陣の責任をも追及するといった
「絡め手」など裏技を使った反撃に出るとも聞いています。
日赤通りの飲食店にとって、
この数ヶ月の攻防が気になるところと考えます。