第634回 時代の流れに逆らえなかったか、ぽん多
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- 2005年5月5日(木)
御徒町のトンカツ屋、「ぽん多」のことが載っていました。
私も学生時代から知っていた有名店。
確か上野近辺のトンカツ御三家の一つとも言われていました。
創業百年ということですからかなりのお店ですね。
現在は4代目に代替わりしているようですが、
店データをみて私は驚きました。
なんとカード使用可で
予約ができる(4名以上)と記してあったからです。
バブル崩壊までは順調でした。
今は建屋を立て替えていますが、昔は平屋のような小さな店でした。
カウンターと畳だったか記憶は薄くなりましたが、
昼、夜ともに人気でかなり行列が出来ていました。
トンカツの価格が明記されていないのですが、
当時一人当たり2~3千円、かなりの高額トンカツでしたが、
若い私にも衣の色が薄いけどボリュームもあり、
おいしく感じたものでした。
まだ先々代も厨房に立っていたと記憶していますが、
緊張感を客に与える店のはしりでしょう、
居心地はよくありませんでした。
ビルに立て替えるので近所に移転したと聞きましたが、
新ビルでのオープン後訪問してびっくり。
トンカツ屋とは思えない立派な佇まいでした。
10年前くらいまではそれでも行列が結構出来ていまして、
幼稚園児は入店不可、
小学生でも食べなければ駄目、みたいな営業でして、
行列に並んでいた乳児を抱えた客には、
主人は大声でスタッフにですが
「帰ってもらえ!」と聞こえるように怒鳴っておりました。
2階には客席を見張るカメラが設置していまして、
1階のオヤジがじっとモニターをチェックしている姿は
異様に見えましたね。
勿論そんな店ですから、カード支払いなどもってのほか、
明細さえ要求するのが怖くて一度も言い出せませんでした。
有名な洋食屋は高いというのが相場ですが、
刺身や魚フライ、コロッケ、タンシチューなどメニューも豊富で
色々頼んで勿論トンカツまで食べると、
一人1万円近くになることもありました。
最近まで一番高くかかるトンカツ屋だと思っていましたが、
交詢ビルの「かつぜん」を知ってからは、
CPが良かったのではと考え直しましたくらいですから、
「かつぜん」の集客不振は当たり前ですね。
段々と人気も薄れてきたのか、
いつでも入店できるようになりまして、
最後は2年前くらいでしたか、
訪れた時は幼稚園児も入店していたのには驚きました。
確認したところ、食べられるのであれば、
他の客に邪魔にならなければ良いとのこと、
かなり変わったというか、店が折れてきたなと感じた次第です。
強気の商売も、客が来てなんぼのものです。
カード決済や予約制を導入してきたということは、
トンカツ屋自体の競走の激化から
全盛期に比べて集客が芳しくなくなってきたということでしょう。
産地や銘柄豚に拘った店、
ミルフィーユみたいにして揚げた店などに行列が出来ている、
と時代は変わってきています。
代替わりして方針を変更してきたのでしょうが、
昔のオヤジの態度を知っている人は
かなりびっくりの方針変更だと思います。