第630回 ワインの諸々 その55アルコール飲まない人入店お断り

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  • 2005年5月1日(日)
先日銀座の「榮庵」の前を通り過ぎるとき、
店内の様子を覗こうとして1枚の張り紙があるのに気がつきました。
それにはなんと、
「アルコールを飲まない人 入店お断り」と書いてあったのです。
受け取る人によっては、かなりきつい言い回し。
反発して入店しない客もでてくるかもしれません。

私がこの店の存在を知ったのは、
「大人の週末」の企画、
「取材拒否の店」特集だったと記憶しております。
取材拒否ということでしたが、
店名の他、データも載っていたと思います。
友里は難なく予約をとって突入しました。
店への感想などは、後のコラムに譲るとして、
確かにカウンターでご主人とマダムだけの小さな店。
常連客専門に近い営業だと思います。
しかし、一回とはいえ会話した印象から、
主人は
このような張り紙をするような雰囲気の人とは思えなかったので
意外でした。

どちらかというと素材重視のフレンチというより
フランス風家庭料理。
しかし、フルコースで食べると一人当たり、
料理だけで1万5千円は行くと思いますから、
安くはない高い店です。
確かに「ワインを飲んでもらわないと・・・」
と言っていたと記憶していますが、
ワインを飲まない客に対しても
利益を充分上げられる値付けだと思っていました。
雑誌に掲載されてから、
まったくお酒を飲まない今メジャーな女性群が押し寄せてしまって、
店の雰囲気が変わってしまったのでしょうか。
一見のお酒を飲まない客に占領されて
大事な常連を逃がしてしまっては大変でしょうが、
もう少しうまい張り紙というか提示ができなかっただろうか。

二人でも1本ワインを飲みきれない人は日本人には多いはずです。
生まれつきの体質ですから仕方ありません。
料理も「レトワール」や「北島亭」のように
「濃い」ものではありませんから、
ワインがなくても堪能できるはずです。
ワインの売り上げが欲しいのでしょうが、
そんなに値付けが高かったとは記憶していないので、
無理にワインに拘る必要はないと思うんですけどね。
「トトキ」のように、ふっかけ値付けで
ワインの売り上げをあらかじめ想定している店では、
アルコールを飲まない客が続出すると痛いでしょうけど。
ワインの売り上げにあまり期待しない、
つまりワインで不自然に儲けようと思っていない店が増えることが
望ましいと考えます。