第626回 限られた客層にしか使えない、一宝 交詢ビル 2

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  • 2005年4月27日(水)
同伴ホステスは揚げ物が好きなのか、
それとも短時間で食べ終わることができるからか、
串揚げの「六覺燈」とこの「一宝」によく出没しているようですが、
20時をまわると客層は一転、同伴カップルが店をでて、
禁煙カウンターに新たな客が座り始めました。
よってこの店では、喫煙されない方は、
20時以降の入店をお勧めします。

今回は最高値コースにチャレンジ。
前菜の胡麻豆腐、銀杏、栗(時期は秋)も
わざわざ天麩羅屋で食べるレベルのものではありません。
鱧とマツタケのお椀も予想通り凡庸な出汁。
造りも質を抑えてわずかな量ですから、
自腹の場合は必要ないと考えます。
なぜか葉物のサラダにラッキョウが乗せてあるのには驚きました。

肝心の天麩羅ですが、
塩、レモン、天汁(おろし付)と3種が用意されています。
旨みのない海老はわずか3尾。
そのうち1尾はシソ巻で、
これはシソ味でカバーされていて未だましか。
火が入りすぎたキス、そして銀杏、舞茸、生麩、玉葱など
数稼ぎが続いた後、穴子はカリッとしておらず質、力量とも不足。
最後の饅頭の天麩羅は甘すぎでミスマッチ、
パスするべきでしょう。

天汁も甘すぎて帰宅しても口の中に甘さが残りました。
紅花油で揚げた軽い天麩羅が特徴ということですが、
東京の中価格以上の店ならばどこでも出会えるもの。
前後で5組の客に対して、
油の交換をついに見ることがなく一人2万円。
これだけ払えばもっと満足できる天麩羅屋が東京にはあります。

<結論>
同伴カップルが、
出勤前に最安値のコースを頼むのが合っている店。
どこにでもある天麩羅で、わざわざ行くことはないでしょう。
すべての同伴カップルをこの店1店で引き受けてくれるならば、
一般客にはあり難いです。