第603回 勘違い移転で集客失敗の典型例、趙楊 その1

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 2005年4月4日(月)
週刊新潮3/31号に
「銀座『飲食ビル』ラッシュの『勝敗』」
なる記事が載っていました。
昨年から私も何回か取り上げた「交詢ビル」のほかに、
同じく三井不動産が手がけた「ZOE銀座」、
そして野村不動産の事業である
「チアーズ銀座」の飲食店の集客状況ついてでした。
交詢ビル以外の存在を知らなかった私ですが、
三井不動産が手がけた2つのビルがいずれも不振だというのです。
交詢ビルの不振はそのコンセプトに問題があるのではないか、と
私は問題提起しておりましたが、
「ZOE銀座」も
「高級志向はわかるがターゲットをどう捉えているかわからない」
とフードライターに言われる始末。
はっきり言って、
このビルのコンセプトもきちんとしたものではなかったのでしょう。
反面、野村不動産の方は、
細分化した専門店で比較的廉価な店を集めたようで、
今のところ順調だとのこと。
今は銀座といえども
リッチを狙った店は難しいということだそうです。

そこで、その難しいリッチ層
(こんな古臭い言葉を週刊誌がまだ使っているとは)に
ターゲットを当ててしまったため、
以前の人気店がまったく閑散となってしまった店を
今回取り上げたいと思います。
ご存知四川料理の専門店「趙楊」です。
交詢ビルの店の中には、
早くも撤退を考えている店があるとの噂もでています。
今後の再開発地やビルに出店を望んでいる、
もしくは勧誘されている料理人や経営者の方、
雑誌や料理評論家、フード・レストランジャーナリストたちの
お勧めに弱い方などに参考になればと、
かなりのボリュームのコラムになりました。
よって今日から4回に分けて掲載させていただきます。


いつまでやせ我慢を続けることができるでしょうか。
昨年10月に交詢ビルに移転してきた趙楊の店内に
ほとんど客の姿を見かけません。
いくら高い地代のビルに出店したからといって、
今までとはまるで違う価格帯の店にしてしまったのですから、
客が離れるのは当たり前と考えます。

去年の春でしたか、
「Hanako」の企画ものとして、高名な犬養裕美子氏を委員長にした
6000円以下の料理店グランプリ特集の
中華部門で見事グランプリを取った四川料理店。
地番は新橋の小さなビルの2階にあったこの店は、
街場の中華の店構えですが、昼は1千円前後のランチで、
夜は四川の質の高い花椒を使った辣・麻のきいた「陳麻婆豆腐」や、
「汁なし坦々麺」の入った四川料理を
コース5千円ほどで提供する繁盛店でありました。
初めての人には驚くべき香りと痺れの「陳麻婆豆腐」は新鮮で、
私もこの店がきっかけで花椒の虜になったくらいです。
昼は「陳麻婆豆腐」を出さないということで
訪れた事はなかったのですが、
夜は単品、コースと両方に対応していて連日満席でした。

夜のオープン直後、客が未だあまり入っていないからといって、
ホールのテーブルにのけぞって座りながら
タバコをふかす主人の姿を訪れるたびに目の当たりにし、
「Hanako」推薦のコース料理も
行くたびに値上げされて6千円近くになった、
もう一つの人気料理である「汁なし坦々麺」は
客単価を計算できるコースにしか出さない、
など以前からこの主人の性格は気になっておりました。
この時期、既に交詢ビルへの移転が決まっていましたから、
この性格の主人が、
移転後もCPを落とさず料理を提供するとは思えない
と私は述べていたのですが、
新しいビルでここまで乱心するとは思いませんでした。

<明日に続く>