第589回 フカヒレにも色々ある

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  • 2005年3月21日(月)
この原稿を書きだそうとした時、
ライブドアの差し止め請求が通った一報を聞きました。
請求が棄却されたら、ほとんど何もしていない大企業の取締役たちの
日頃の怠慢などのチェックがきかず、
ますますやりたい放題になると以前のコラムで書いた友里ですが、
当然の結果だと思いますが
司法の冷静な判断に胸をなでおろしたところです。

ところで第573回574回のコラムで取り上げた「陳麻婆豆腐」で、
出てきたフカヒレについて私は
「この価格帯でフカヒレを出すことが土台無茶です」と書きました。
出てきた「フカヒレ」が小さく質も良くなく揚げたものだったので、
コース総価格でも高級店の単品価格にまったく届かない醤油煮や
上湯スープの「姿煮」と比較してのコメントでした。

しばらくしてから、
海産物の流通(インポート)に従事されている読者の方から
ご指摘を受けました。
「フカヒレ」といっても、
尾長さめ、メジロ、ヨゴレ、シュモク、
トラ、ヨシキリ、アオサメと色々ある。
また海産物であるので
その中でも一級品から三級品までまさにピンきり。
高額中華にでる「フカヒレ」以外は捨てるわけではなく、
スーパーのフカヒレマンのほか色々使われている。
その「きり」の安いフカヒレなどの味わいや
安い価格に支えられて現在の一級品の価格があるとのご意見でした。

「フカヒレ」には
ヨシキリサメやアオサメのヒレが使われているのは
高額店のメニューで知っていましたが、
尾長サメの尾びれの下側が一番高額だとのお話は
はじめて聞きました。
インポーターから色々流通機構を通して各中華店に渡りますから、
どれほど価格が上乗せされているのかわかりません。
しかし、実際は我々一般客が
高額料理店の売値から想像する以上に
もっと格安なのではないかと今回感じた次第です。
特にインポートの段階では
かなり我々のイメージとはかけ離れた価格のような気がします。

我々一般人は、上流行程である輸入業者や
まして漁業者にコンタクトできる機会はないでしょう。
色々な種のサメのヒレがどう扱われているのか、
輸入の段階でのフカヒレの価格はどうなっているのか、
非常に興味があるところです。
原価をどうこう言うのは品がないとのお言葉もあるようですが、
今はディスクローズの時代です。
物言わない株主が良しとされていた
古き日本の習慣が考え直されて来ている現在、
料理の世界でも黙って有難がって食べる客ではなく、
物言う客が必要となり、
そのような客がバンバン出てきて良いと考えます。

つまらないヨイショ記事や店宣伝、
コンサル業に明け暮れる自称料理評論家や
フード・レストランジャーナリストたちですが、
たまにはこういう本質というか
面白い問題を追及してもらいたいと私は考えます。
ヨイショや料理人の口上の垂れ流しは、料理に詳しくなくても、
食べ込んでいなくても誰でもできるからです。