第580回 京料理の定義とは?
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- 2005年3月12日(土)
あの「幸村」が麻布十番にオープンした後、
フード・レストランジャーナリストたちはこぞって絶賛、
「新幹線に乗らずに東京で本物の『京料理』が食べられる」
との推薦文も見られました。
深くは考えたことがなかったのですが、
私はこのコラムを始めたころ、読者の方から
「吉兆の創業者、湯木貞一氏は京都産れではなく、
本店であった高麗橋店は大阪だ。よって吉兆は京料理ではない」
といった趣旨のお便りをいただきました。
確かに、江戸料理と言っているが
「なべ家」の寄せ鍋のどこが江戸料理なのか、
「ほそかわ」のどこが江戸蕎麦か、とほえている友里。
「青柳」からは
「徳島出身で主に徳島の食材を使っているから
『徳島料理』と言っているだけ」
との言質を引き出したこともあり、色々調べてみたのですが、
「京料理」のはっきりした定義がわかりません。
店が京都にあるから京料理。
では「幸村」は失格です。「と村」も名乗れないでしょう。
料理人が京都出身。
これでは門戸が狭すぎます。
地方出身者や大阪、東京産れの人は
一生「京料理」を名乗れません。
食材が京都産。
丹波のマツタケ、間人港の松葉蟹などはそうでしょうが、
現在京料理で主に使われている食材は
純粋に京都産のものは少ないのではないでしょうか。
有名な若狭のグジは福井、
鯛やヒラメも府外でしょうし、鱧も京都でとれるのか。
その名の「京野菜」も
多くは実は他県で栽培されていると聞いたことがあります。
松葉蟹も府外のものが大半ではないでしょうか。
私にははっきりしません。
料理人や店が名乗れば
誰でも「京料理」になるのではないでしょうか。
「ほそかわ」の江戸蕎麦名乗りと同じなのかもしれません。