第578回 鰻屋ではなく焼肉屋のタレについて
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- 2005年3月10日(木)
同じ味を保っていくと聞いたことがあります。
つまり老舗と言われる鰻屋のタレは、
代々受け継がれて同じ味をキープしているといことでしょうか。
確かに店によってタレの味は異なります。
しかし最近ある会合で、
流行っている焼肉屋のタレについての講釈を聞きました。
客で溢れかえっている店は、
皆、少しずつタレの味を変化させているというのです。
同じ味だと飽きられてしまい、客が来なくなる。
つまり、常連客にもわからないように変化をつけていき、
客を逃がさない戦略だというのです。
なるほど、と思いました。
これは聞いた話ですが、昔、老舗のしゃぶしゃぶ屋が、
自慢のゴマダレを瓶で売り出したところ、
店に来る客が減ってしまって、あわてて店用と味を変えた、
というのを思い出したのです。
タレさえ買えれば、家で充分ということだったのでしょう。
しゃぶしゃぶは、タレ以外、肉質の違いはあるでしょうが
他に付加価値はあまりありませんから。
ではなぜ、鰻屋のタレは変わらないままなのか。
常連でも焼肉よりリピートする回数が少ないので
飽きがこないものなのか。
しかし、昔とは環境や産地の違いで
鰻自身の味が変わってきているのではないか。
江戸前という語源だった鰻ですが、
野田岩、尾花をはじめほとんどの店では養殖物。
天然でも四万十川など地方物が有り難がられる時代です。
環境も変化しているはずで、
昔とは味わいが違ってきているはずなのに、鰻のタレは不変。
またまた友里征耶が突っ込みたくなる疑問点であります。
鰻は焼肉と違ってタレに左右されるほど繊細なものではないのか、
タレなど関係なく、天然か養殖かもほとんど関係なく
誰でも「おいしい」と思う食材なのか。
でもそうだとしたら、店の優劣、違いはなくなりますね。
そこそこのレベルの鰻を使っていれば
どこでもおいしく食べられる店側も客側にも便利な食材。
私はそんなところだと思っております。