第574回 友里征耶の疑問 13料理人は風邪ひかないの?

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  • 2005年3月6日(日)
最近の流行でしょうか、大店、老舗、グランメゾンで
シェフ、板を張っていた方たちが
独立して自分の店を出すのをよく目にします。
ぱっとあげてみると、フレンチでは「トトキ」、
イタリアンでは「エム ディ ピュー」、
和食では京都ですが「てら川」など。
これらの店はシェフ、板長個人をウリにしている店ですから、
規模は小さく看板料理人が自ら鍋をふっています。
ここ数年増殖してきた高額鮨屋も主人がメインで握っています。

日曜や月曜を定休日にしている店もありますが、
なかには年中無休の店もあります。
私は前から不思議だったのですが、
彼らは風邪とか体調不良でダウンすることがないのでしょうか。
一人で切り盛りしている
たとえば「さわ田」の主人が寝込んだら店は開きません。
スタッフが何人かいるとはいえ、
他の30代鮨屋も看板主人がいなければ
誰も食べにはこないでしょう。
特に最近はオープンキッチン系が多いですから、
シェフや板長が居るか居ないかがすぐわかってしまいます。
「トトキ」も入店してシェフがいなかったら、
私は急用ができたとかいって
何か一品頼んで店を出てしまうかもしれません。
看板シェフの存在は多店舗展開、大店、小規模店と関係なく
重要なことだと思うのですが、
新しい小規模店は名前だけでなく
厨房に存在しなければいけないようです。

料理人の体調について、たまにお店で話すことがあるのですが、
だいたい回答は限られてきます。
「気が張っているので風邪引かない。
たとえ体調が悪くなっても、点滴などですぐ復帰する」
というものです。

私も最近はストレスが溜まらなくなったからか
あまり風邪等引きませんが
それでも何年かに1回は会社を休むことがあります。
そういう場合は点滴を打っただけではすぐには復活できません。
取引先などを見ていても、
たまに体調不良で休む人は結構多いわけでして、
料理人と違ってサラリーマンや会社役員は
気が張っていないのだろうか、と考えてしまいます。
役者の方からも、後がない、替りがいない、など緊張感があると、
風邪も引いていられないという話を聞くことがあります。
しかし公演なら期間がありますが、店には期限がありません。
ずーっと緊張していられるのかどうか。

ヒロだのアクアパッツァ、青柳など
マスコミ露出大好きな料理人は、
普段から店にいないのは常識ですから、
毎日風邪をひいてもあまり関係ないでしょうが、
規模の大きくない店では集客に直結してしまいます。
点滴打ってフラフラな状態でも
店に出なければならないでしょうから、
シェフも大変でしょうが
その時に当たってしまった客も大変なわけです。
一般客としましては、そういう非常事態の時に
当たらないようにしたいものだと考えますが、
店側からは「体調不良」などの
情報のディスクローズは期待できませんから、
そういう場面に当たってしまったときは
運のなさを嘆くしかありません。