第57回 初訪問、「フォリオリーナ デッラ ポルタ フォルトゥーナ」(中目黒)
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- 2003年7月14日(月)
1.鉄人番組で勝利し、衝撃的にデビューした
小林氏のイタリアン。その変わった風貌が
カリスマ性を高めたのか、根強いファンを獲得した。
2.その後「マリエ」、「ラディーチェ」などの
シェフを渡り歩いたが、鉄人番組の印象が強すぎたのか
料理では評判にならずブレイクしなかった。
3.今回の店は、一日4組(2名換算)のみ。
1週間毎にメニューを変えるコース制で、
2度と同じ料理を出さないらしい。
4.ワインはボトルではなく、料理に合わせて
何種かグラスで提供される。
5.価格は高額設定。
<感想、他>
立地条件
地番は中目黒ですが、最寄り駅は目黒です。
どちらからも徒歩で行くのは厳しい、立地的には悪い環境です。
山手通の田道の交差点を入ったひなびた商店街の一角にあります。
昔初めて行った時の「ラビラント」を思い出しました。
外観、内装
ぱっと目で、お金をかけていないことが直ぐわかります。
安っぽいドアを開けて入店すると、
もう開店して数ヶ月経つというのに、
接着剤の匂いが充満していました。
内壁も合板の張りあわせなのでしょう。
この立地、安普請の店構え、あきらかに小林氏自身の店で、
「グラナダ」のようなスポンサー会社が
バックについていないことがわかります。
グラス、カトラリーなどもよく言えば堅実、はっきりいうと
機能するぎりぎりのものを選んでいるようです。
料理
10種くらいの少量多皿コースです。
多皿はいいのですが、一口タイプ。
味わいや食材の食感を楽しむ量の余裕がありません。
厨房にはシェフが一人のようで、とてもすべての皿で
手の込んだ料理を提供できる体制でもないようです。
温かい料理でも皿は温まっていません。
一口タイプの煮込み(カタツムリ)もコンフィなのでしょう、
造り置きできるものを冷たく供する料理が多いのです。
最近お約束のイベリコ豚も、ローストですが半生で薄いスライス。
食材の持ち味が出ない小ロットの料理でした。
量が少ないですから、料理自体がすぐ冷めてしまうのも難点です。
いくら人数を抑えてもこの皿数、一人でやるには限界があります。
やはり格言は生きていました。根強いファンはいるものの、
「マリエ」、「ラディーチェ」に続いて、
小林シェフの料理に満足するものなし。
サービス
皿洗いしかできないような追廻が一人いるだけです。
料理の配膳やワインのグラスサービスなど
ホール内のことはすべて小林シェフが一人でします。
満席の8名が入ったらどうするつもりなのでしょう。
料理する暇があるのでしょうか、サービスできるのか心配です。
ワインなど
ビールがありません。
ワインリストもなく原則ボトル売りはしないようです。
食前酒が1種、白赤ワインが3種、
そして食後酒の組み合わせで5千円。
足りない場合は、グラスで同じものを追加します。
用意しているワインは、シチリア、ロンバルディアものでしたが、
私は勿論、相当イタリアワインに詳しい人でも
見たことのない無名のワインでした。仕入れ価格がわからない、
おそらく相当安いワインなのでしょう。
グラスサービスですから、
当然すべてのワインは当日の抜栓ではなく、
かなりボトルの量は減っていました。
若いワインですからかえってこなれて
飲みやすかった点はありますが、定休日の翌日ですと
最低2日は抜栓から経過していますから注意が必要です。
いちいち講釈をつけて「食事にあうよう冷やし目で」
なんて言っていましたが、要は味をわからなくするため
白でも赤でも冷やして出しているだけです。高等戦術です。
その他
料理が1万5千円、ワインが5千円です。
サービス料はないようで、
ワインのグラス追加をしても@2万円強。
全体の量は少なく、帰宅後なにか口に入れたくなりました。
予約はシェフがいなければ出来ない。
他の人では、予約台帳に書き込めないらしく、
後ほどシェフ自身からの電話でようやく確定できます。
使い勝手の悪い店。
<結論>
1.食材、味わい、サービス、内装とトータルで判断すると
高い店です。CPが悪すぎる。
2.小林シェフの実力は、過大評価されていることが
あらためてわかりました。
3.二度と同じ料理を出さない、というキャッチは
関係ありません。リピートする人は少ないでしょう。
4.ここを褒めていた有名評論家グループ(3人)の評価基準は
一般客の枠外です。