第521回 日本を舐めるな、BEIGE TOKYO 2
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- 2005年1月12日(水)
高い天井、スタイリッシュなデザインで内装は悪くありません。
全席禁煙なのも評価できます。
ウェーティングも7卓あり余裕です。
ホールは2つに区切られていて、
ウィンドーサイドゾーンはあまり夜景が見えず、
中央通りを通して東京タワーが見られる
アッパーゾーンがお勧めです。
ワインは予想通り高い。
グラスシャンパーニュは2100円。
ポメリーなど普通のノンヴィンがボトル1万2千円ですから、
小売の3倍近いでしょう。
優良年とはいえ
プレステージシャンパーニュが5万円を超えていましたから
法外です。
そしてこの店ではブルゴーニュを頼んではいけません。
90年代以降の若めの白、赤ワインが主体で
小売の2~2.5倍以上とこれまた舐めきった値付けです。
しかも1万円を切るものがほとんどありません。
他のグランメゾンでも見られない価格設定ですが、
ボルドーだけは1.5倍程度のものもあり、
絶対値は高くなるかもしれませんがなんとか許容範囲と考えます。
シャネルの資本傘下にあるシャトー物は特に充実していました。
料理ですが、さすがに当日は内容が決まっておりました。(笑い)
アミューズの他、3皿とチーズにデザートで1万7千円、
4皿になると2万2千円。テは別料金です。
しかし、ほとんどお任せというのでしょうか、
フォアグラ料理2種、野菜料理2種、
海物(魚系)2種、陸物(肉系)2種からのチョイスとなります。
全部で料理は8種だけ。
それだけでもグランメゾンとしては
選択肢のない手抜きだと思うのですが、
海物はホタテだけ、陸物は仔羊だけしかありません。
つまり、このグランメゾンは、野菜料理を除いて
フォアグラとホタテと仔羊のわずか3種の食材しか
仕入れないシステムにしてしまっているのです。
デュカスの希望で、
必ずフォアグラは頼まなければいけないのですが、
仔羊も好き嫌いがある食材です。
この二つの食材が苦手な人は
この店で満足に食事をすることが出来ません。
デュカス拘りのフォアグラ料理は、
コンフィを食べましたが何の変哲もないもの。
無理に客に薦めるものではありません。
野菜料理、ホタテ、仔羊ともに食材の質は良いようですが、
3つ星レストランに要求される創造性はまったくなく、
ただ盛付けの美しさのみ。
メニューから簡単に想像できる単純な調理で
驚きがまったくありません。
しかも、この内容は3ヶ月変わらないとの事。
一見客だけを狙っているのでしょう。
同じ銀座で人気のあるグランメゾン関係者が、
「コンセプトがまったく違う」と
脅威を感じず余裕の発言をしていた訳がわかりました。
サービス面もひどいものです。
白服、黒服と役割を分担しているのはいいのですが、
お互いの仕事をカバーしませんからすべてが停滞、
この役割分担の弊害だけが目立ちました。
テーブルウォッチングはなく、
ワイングラスは空のままの状態がかなり続きます。
勿論白服は職掌外ですからカバーしません。
かくして大したワインを頼まずとも適度に飲んだら一人4万円弱。
1回だけの訪問で充分です。
<結論>
これほど世界的に多店舗展開してしまったら、
デュカスは極東の小さな島国のレシピに力を入れないのでしょう。
オペレーションだけでなく、
食材を含めた料理にまで手抜きを感じます。
この舐めたままの方針を変えないならば、
舞浜のスプーンの二の舞になるでしょう。
いやそうならなければならないほど客を舐めている店です。