第512回 東京の客を舐めるな、よねむら 2

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  • 2004年12月21日(火)
フォアグラも昼夜の定番なのでしょうが、
質が良くなく味わいを感じません。
ランチではフレンチトースト風の生麩に乗っている奇抜なもの、
夜はフォアグラ大根でした。
10年以上前、ワインを出す和食屋の定番だった
「大根とフォアグラ」の組合せにびっくりです。
埋没してしまった「小田島」などで毎回でていましたが、
もう絶滅した料理だと思っておりました。

鮑とマツタケのグラタンもミーハー受けしますが
質が悪いのか味や香りがしません。
的矢の牡蠣にかかっていたトリュフ、秋トリュフなのでしょう、
香りがまったくしませんでした。なくても同じです。
専門の男性が造っていたサラダ。
切り置いたパック入りの生ハムは、
街場のイタリアンというかパスタ屋で使うもの。
その生ハムとリンゴのサラダに合わせたヒラメは
ベチャベチャでした。

夜は更にウニやカラスミまで質を問わない、
いわゆる「高級食材」がこれでもかと出てきますが、
どれもアイテムだけで質を考えないのが
この店の営業方針の悲しいところです。
本物志向の客には何一つ満足感を与えないでしょう。

ワインリストもヴィンテージが記してありません。
京都の客は、ワインの生産年にまったく感心がないのでしょうか。
東京の高額店ではありえないことです。
モエ エ シャンドンの
大量生産ノンヴィンのシャンパーニュがなんと1万2千円。
仕入れの4倍近いでしょう。
一般客が小売で購入しても、倍以上の利益が出てしまいます。
東京では、最近は高額フレンチでも
1万円を軽く切っている店が多いですから、
調査不足なのでしょう。
白、赤ワインも恐ろしく高く、
やっと見つけた5千円や7千円のワインはボジョレーものでした。
それ以外はすべて1万円を超えていると考えてもいいでしょう。
この常識はずれな値付けをみると、
米村氏は拙著を読んでいなのでしょうね。
よって、ボジョレーでない安いワインで我慢したとしても、
普通に飲めば夜には一人2万5千円を超えてしまいます。

<結論>
京都の店でもこのワインリストなのだろうか。
ド素人にしか通用しない表示と値付け。
料理も名ばかりの高級食材が次々でてきますが、
まったく質感がない、ミーハー初心者向けの似非フレンチです。
ワイン通、食通にはまったく向いておりません。
この店が雰囲気や内装ではなく、
料理そのもので評価されていると言うならば
京都のフレンチ、イタリアン業界は
かなりの低レベルと言えるでしょう。
地方のお山の大将が、東京の食通をなめてはいけません。