第507回 友里が考える「客が納得する店」とは その3コンセプトが大事

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  • 2004年12月16日(木)
大儲けを期待して店をやってはいけないと前回述べましたが、
一番大事なことは経営者として、
どういう店にするかといった店のコンセプト造りでしょう。

交詢ビルのようにどんな店でも一律に客単価1万円以上にせよ、
といった本末転倒なものではなく、
狙う客層、客単価と立地、サービス陣、
そして収益を考えた上での料理内容を
トータルで考えていかなければならないと思います。

つまり何が何でも銀座、とか一人1万円以上、とか
一つのアイテムだけ先に決めてから、残りを決めるのではなく、
総合的に考えて立地や店構えを決めなければならないと考えます。

まあ、フレンチかイタリアンか和食にするかは
先に決めなければ何もスタートしないでしょう。
そして、料理人の調達も大事です。
初めに料理人を決めてからその他のコンセプトを考えるのか、
全体を考えながら料理人を探してくのか、
その方法は分かれますが、
自分自身がオーナーシェフとなるならば、
どのようなレベルの料理が自分に合っているか、
自分の実力をふまえて冷静で客観的な判断が必要と考えます。

高年齢層を狙うのか、低年齢層なのか、
高額店なのか、低額店なのか、
マニアックな料理にするのか、誰でもわかりやすい料理にするのか、
それらを決めていく過程で、
おのずと立地やワインの品揃え、そして価格設定が決まっていくと
私は考えます。
総合商社や総合小売業が今不振なように、
オールマイティを狙ったものはうまくいかないと考えます。

マニアックで高めの料理なのにワインの品揃えはプアで高く、
軽い内装で外には行列の出来るラーメン屋、
これではコンセプトが統一されていません。
(現在は改善されています)
豚カツなのに客単価1万円、客が入るはずがありません。

また再開発ビルへ出店さえすればいいというものでもないのは、
けやき坂をみれば誰でもわかります。
富裕層を狙い、豪華な店構えにし、料理も高くして
宮廷料理だ、西太后の料理番の末裔だ、一日3組だ
と付加価値をつけて煽っても、
肝心の料理で差別化できず、値付けも高すぎれば、
勿論客は入りません。

ワインを飲まない低年齢の女性目当てで
軽めの味付けの料理とある程度のボリュームで
納得の価格をつけている店、
マニアックで高い値付けだがボリュームもたっぷり、
高年齢層をターゲットに居酒屋的な雰囲気の店、
などは多少不便でもスタッフが少なくとも
流行っている店があります。

マスコミに乗ることは必要かもしれませんが、
要はどういう店にしたいのか、自分なら行きたくなるか、
をコーディネーターやプロデューサーといった人たちの
甘言を信じることなく自分で判断することが必要です。

当たると偉そうに言ってきますが、
外れても責任をとらないのが彼らの持ち味。
最近は、再開発ビルの不動産関係者も
出店の勧誘をしてくるようです。
しかし専門的にアドヴァイスできるんでしょうか。
色々な誘いがあるでしょうが、
世にうまい話はそうそうない、というのが定説です。
スポンサーを見つけて雇われならばいいでしょうが、
自分の出資でやる場合は、
慎重にも慎重を期することが必要と考えます。

このシリーズに関しては、ご意見などをあまりいただけず、
ネタ不足になりそうです。
皆様と色々考えていきたいと思いますので、よろしくお願いします。