第453回 青柳から独立した店が評判です

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  • 2004年10月23日(土)
最近「青柳グループ」のあまりよい噂を聞きません。
昨年春には「パリ店」を開くと言っていましたが、
無事オープンしたのか、未だなのか、
その後の噂は雑誌などからはまったく入ってきません。
六本木ヒルズの各店も集客に苦労しているようですが、
まだまだ膨張主義を変更していないのか、
三島にも「バサラ」という名の店ができたとも聞きました。

そのような状況のなか、
船から降りたといったら言い過ぎかもしれませんが、
最近「青柳出身」を看板にした主人の和食店が
都内にいくつもオープンしてきて評判です。
六本木の「龍吟」、銀座の「小十」、元麻布の「かんだ」の
3店ですが、それぞれコンセプトは違っているものの、
出身母体と違って集客は順調なようです。

このコラムを書いている時点で
私はこの3店すべてを訪問したわけではありませんが、
「小十」などに言えることは、
最近の他の人気店、特にランチ時など女性客で一杯の
「あさみ」、「そったく」、「うち山」とは違った、
丁寧にしっかりした技術をベースにした
本格志向の和食だということです。

本家である「青柳」や「小山」も高い価格を考えなければ、
料理自体にはいいものがいくつかあります。
ウリである鯛の造りや鮎の焼き物など、
師匠である小山氏自身のアイデア、技量は
実はたいしたものなのでしょうが、
変にブレイクしてしまってから勘違いしたのか、
ひたすら拡大路線を突っ走ってしまい
後に引けなくなってしまったようです。
ある料亭の主人が言っていたのですが、
「屏風と店は広げると倒れる」という格言があるそうです。
倒れる事はないかもしれませんが、
拡大路線はいずれ行き詰まる事は、
そごう、ダイエーなどで立証ずみです。
身近な飲食店ではソーホーズの例もありました。

師匠の技術をうまく反映しているのか、
青柳出身の3店はいまのところ順調なようです。
調子に乗って分店を造る、
資本力のあるスポンサーの傘下に入って個性を発揮できなくなり
客寄せパンダになってしまう、
スポンサー企業の指示で得意でないものまで名前貸しで造り出す、
など勘違いをしないことを祈るばかりです。