第420回 交詢ビルに意外な店が・・・

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  • 2004年9月20日(月)
10月1日オープンする交詢ビル(旧交詢社の跡地)に入店する
レストランの詳細がわかってきました。
再開発ビルに多店舗展開している
おなじみのチェーン店が多いと予想していたのですが、
一見独立系に見える料理店が目立つのです。

「たらふくまんま」や「今半」はその業態から驚きません。
新橋にあった「趙楊」は前々から移転の情報が流れていたので、
10月1日からはCPが落ちるという予想を既にしておりました。

私の情報不足だったようですが、一番意外に感じたのは
ほんの数百メートルの移動だけの「オストラル」です。
オープン当初のシェフやソムリエが去っていき、
一時の人気もピークを打ち、
最近はあまり話題にならなくなったと思っていたのですが、
大きな賭けに出てきたようです。
移転と言ってもほとんど場所が変わらないもの。
新開発ビルの5階ですから、以前の小さなビルの地下より
かなり地代はアップしているはずです。
保証金も前のビルの戻りだけでは足りず
追加しているのは間違いないでしょう。
それに移転費用に内装費用(前店の現状復帰と新店)に、
もしかしたらより大箱にしているかもしれないので
カトラリーなども一新しているかもしれません。

つまり、一時的な費用と賃料などの増額という、
キャッシュフロー的にはかなりの負担が今後も続くことは、
想像するに難くありません。
しかし営業テリトリーは以前とまったくかわらないもの。
つまり集客増大のインパクトは、
新ビルというウリしかないのです。
物珍しさでオープン当初は
どこの再開発ビルでも見られる
「ご祝儀満席」が見られるかもしれませんが、
固定費などの上昇は、売価に転嫁するか、
もしくは食材レベルの低下で補填するしか方法はありません。
いずれもCPの低下は明らかでしょう。
おそらく、新開発ビル側や似非プロデュース業者からの
熱心な誘いがあったので移転を決意したと思いますが、
誘い文句のようなバラ色の集客が何年も続くかどうか、
1年後の六本木ヒルズの高額店を見てみれば
子供でもわかると思うのですが。

そのほか、大阪の「六覺燈」という串かつ店にもびっくりです。
一昔前のワインブームの折、
串かつになぜにワインをとの疑問の中、
高級ワインを扱った常連重視の店で知る人ぞ知る有名店でした。
この手の店のお約束は、性格に癖のある主人にレアワイン。
安めの若いボルドーなどなら
何とか串かつにも合うと思うのですが、
客によっては
ブルゴーニュの神様と言われた造り手のワインを
かなり高い値付けで出すことで話題になりました。
高級ブルゴーニュを、
油の香りが舞った室内で飲む神経を疑いますが、
それでも景気が今ほど落ち込まない時は人気だったのでしょう。

どこでもそうですが、レアワインは飲みつくされ、
世界相場が5倍、10倍になっていますから、
もう以前のような営業形態をとりにくくなっていると思いますが、
この銀座への出店。
同じ大阪の「クロ ド ミャン」の銀座進出に
刺激されたと推測します。
本来大阪はアンチ東京のはず。
東京人なんかを相手にできるか、
といった気概があると思っていたのですが、
それほど銀座は魅力的に見えるのでしょうか。

他に私はまったく知らなかった柿の木坂の鮨屋、「逸喜優」。
街場の鮨屋かどうかわかりませんが、
この道35年の店主ということですが、
鮨では競争の激しいこの地区へ進出して大丈夫なのか、
人事ながら心配です。
あくまで想像ですが、交詢ビル関係者の自宅近くのなじみ店で、
口説かれての出店としたら、運がよかったか悪かったかどうか、
結果は1年、2年後にすぐでることでしょう。