第409回 本店が支店の半値とは・・・
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- 2004年9月9日(木)
一般に理解しやすいでしょう。
飲食店に限らないことですが、流行りだすと
売り上げ、利益の急増を狙って
分店、支店を造りたくなる誘惑にかられるようですが、
たいていの場合は、より客層の拡大を狙って
ディフュージョン店にすることが多いはずです。
店の詳しい感想は後にゆずるとして、
先日私は、スペイン バルセロナ近郊のミシュラン2つ星
「サン パウ」を訪れる機会にめぐり合いました。
日本の日本橋の支店は、
本店と同じような雰囲気を狙ってオープンしたようですが、
綺麗な海、海岸が目の前に広がる本店を見てしまったら、
都心のビル街の真ん中に位置するこの分店は、
「グラナダ」という経営会社が、
どのようなコンセプトで開業したかったのか
私には理解できなくなりました。
本店の料理は支店と違って満足するレベルの物。
シェフが厨房に常駐していることも原因でしょうが、
その料理価格を考慮に入れたCP感はぜんぜん違うものでした。
テースティングコースという、いわゆるこの店のウリである、
ミクロメニュー(小皿料理が4皿)に、
魚料理が数皿、そして肉料理にデザートがついてなんと96ユーロ。
昨年より値上がったようですが、
日本の支店が21,000円ですから半値に近いのです。
勿論、ワインも安いものが多く、30から100ユーロが主体で、
最安値は15ユーロからありました。
支店では、1万円以下のワインを探すのに苦労したというか、
そのリストから私は見つけられませんでした。
「グラナダ」の社長は、
「自分がおいしいと思う料理を提供する」
といった発言をしていたと記憶していますが、
「自分が一般客として支払って食後に満足感を持てる」
といった方針ではないようです。
本店の料理やコンセプトの再現を狙うなら、
地代の高い都心の再開発地に出店したら、
コストを押し上げても無理なのは子供でもわかります。
本当に「サン パウ」の料理に感動し、
日本にそのコンセプトそのまま持ってきたかったのならば、
コストを含めたCP感を考え、
立地や建物、スタッフ数などを考えた店にすべきだったのでは
と考えた次第です。
2つ星というネームバリューによって、
客単価を上げてでも集客が可能、営業的にも成り立つと踏んで、
女性シェフを説得したのならば残念です。