第380回 あの店は今・・・ さわ田

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 2004年7月29日(木)
久々に訪問しました。
若干内装を手直ししたのでしょうか、そして貸し切りの場合は
6席と1席増やす営業姿勢のため、
予備の椅子が荷物置きに使えるようになっておりました。

鮨はフレンチやイタリアン、和食のように
次々と調理法を独自に編み出すものではなく、素材主体のためか、
再訪しても時期が同じ場合は内容に違いがありません。
再訪を繰り返すたびに、
満足感というか驚きが薄れてくるのは致し方ないのでしょうか。
今回の訪問で、感動まではいかなくとも
素晴らしいと思ったネタや鮨には出会えませんでした。
勿論平均以上の鮨だったのは間違いないのですが。
最近の鮨屋の若手は
ネタに関して互いに情報交換をしていると聞きます。
つまり、わざわざ中野坂上にまでいかなくとも、
都心で似たようなレベルの鮨に遭遇する機会が増えた事も
その理由でしょう。

ただ一つ、同伴者とも同意見だったのが、
「こんなに古い、いや熟成した鮪は初めてだ」。
赤身をはじめ、中トロ、大トロとまず色が黒い。
馬肉の表面が黒く変色しているような感じです。
しかし、コンソメをとる肉ではないのですから、外観を犠牲にして
ここまで熟成させるメリットがあるとは思えません。
最近の雑誌で「鮨ボーイズ」たちは
盛んに鮪の熟成のことを言っています。
2週間くらいは寝かせると言っていますが、
ここまで行ってしまったネタには初めて遭遇しました。

前回の訪問時までは、
これほどの鮪の古さ、いや熟成を感じませんでしたから、
主人が他店との差別化のために
新たに編み出してきた営業方針とも取れますが、
いかがなものでしょうか。
別の日に訪問した知人も、この熟成方針にクビを傾げておりました。
私には「やりすぎ」と主人の空回りを感じますが、
ここは、この店を人気店にした最大貢献者である、
山本益博氏の意見を聞きたいものです。

最後に。
人気店のお約束でしょうか、
訪れるたびに1~2割値上げを感じます。
ついに2万5千円前後になっておりましたが、
ここまで出すならば、
考え直す客もそろそろ出てくるかもしれません。
それから予約の電話がなかなか繋がらなかった理由がわかりました。
どうせ予約が一杯で断ることが前提なのでしょう、
主人は電話が鳴っていても出ないのです。
営業時間中ではない、
オープン前の仕込み中でも繋がらなかったのは、
恐らく当面の予約が一杯になったから
出る必要はないと考えたからなのでしょう。
既に人気のピークはうってしまった感がありますが、
この強気がいつまで続けられるか、見ものであります。