第372回 ここまで払えるか、味満ん 1

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  • 2004年7月21日(水)
六本木の路地を入ったわかりにくい所にあるのですが、
店の前に着いても気がつかず通り過ぎる客が多いかもしれません。
高額なフグ屋にはまったく見えないからです。
予約時、店側は紹介者がいるかの確認をしてきます。
なにも一見客を排除するためではなく、
この店の価格レベルや
カード使用不可のシステムを知らずに突入されて
トラブることを避けるためのようです。

評価本やネットでは東京で最高のフグを、
しかし一番高い価格で出す店となっております。
しかも予約時に一見にはそれとなく支払額をほのめかす用心さ。
初めての客は
どれほどの高級店かと期待に胸を膨らませて訪問するのですが、
実際目の前にあるのは場末の小料理屋かとも思われる外観。
私は絶句してしまいました。

カウンターが10席と5~6名用の個室が一つの小さな店。
客層は中年以上の男性が主体でしょう。
ほとんどが接待系と考えます。

着席してビールを頼んでから
提示されたお品書きを見て驚いたことが二つありました。
一つは価格。
なんとその品書きには価格が表記されていないのです。
完全な不明朗体系。
コースはなく単品注文制とは聞いておりましたが、
ふぐ刺しもから揚げもちりもいったいいくらなのかわかりません。
二つ目は料理の種類。
ふぐ料理全般のほか、なんと毛蟹、鮑からはじまって鯖味噌煮、
もずく、と居酒屋料理までラインナップされています。
鯖味噌煮とご飯を食べて帰りたい気もしましたが、
そこそこの現金を用意していたので、
フグのフルセットを二人で適当な分量になるよう
お任せで頼みました。
つけ場の若主人と思われる人は、
「うちは全般に量が多いから刺身は1.5人前にする」
と言いましたが、
単価を提示されていない我々には、
1.5も2人前もまったく関係ありません。
「もう腹はくくった、勝手にやってくれ」
の心境となった次第です。

<明日につづく>