第360回 あの店は今・・・ マルディ グラ

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  • 2004年7月9日(金)
近著で「わざわざ近づく必要なし」とカテゴライズした
銀座の有名店「マルディ グラ」。
最近あまりマスコミ露出をしていないと思いますが、
まだまだフード・レストランジャーナリストたちとの関係は
良好なようです。

先日やや安めの洋食系を銀座で探すことになり、
「クロ ド ミャン」のコテコテが少し飽きてきたので、
半年近くご無沙汰でしたが
再訪することを決意しました。

相変わらず満席に近い状態と盛況な店内。
狭くて詰め込むのは仕方ないのですが、
私はどうもこの店の卓配列が落ち着けません。

メニューはそれほど変わりないものでしたが、
ウリのポテトフライがまた載せてありません。
来るたびにあったりなかったりと、
ポテトの存在が不安定なのはいかがなものか。
裏メニューとして完全に表から抹殺してしまったのか
はっきりしてもらいたいと考えますが、
最新の「東京ブロス 8月号」では未だ紹介されていましたから
不思議です。

アミューズのキッシュは相変わらず料理のなかでは安心します。
パテやグリル野菜など定番の前菜を選び、
メインは新登場のイベリコ豚のカツレツです。
白金豚のグリルもありましたが、
スタッフが力を入れてすすめるイベリコ豚。
冷凍物しか輸入されないはずですが、
なぜにどの店でもこのイベリコ豚を取り上げているのか、
スペインは豚好きのお国柄で
自国消費以外にこんなに他国へ供給できるほど
ドングリがあるのでしょうか。

「アッカ」でイタリアの幻豚、
チンタネーゼのカツレツを食べた事がありますが、
私はこの脂部分が旨いと言われているブランド豚を薄く延ばし、
カリカリに揚げてしまうこの調理法に疑問です。
ここまで火を通してしまったら、衣の食感はいいでしょうが、
豚自身の持ち味、旨みを含む肉汁が飛んでしまいます。

これほどイベリコが持て囃されているのに、
トンカツ屋では、餅豚、桃園豚、三元豚、黒豚など
かなりの品種をみますが、
「京都和久傳」など和食にまで進出してきている
イベリコ豚のカツを見かけません。
コストの割に持ち味がでないと考えるのは友里だけでしょうか。

ワインも相変わらず6~7千円以上が主体と料理の割に高め。
この手の単純な料理には、
単純な安めのワインで充分だと思うのですが、
店主の考えは違うようです。
他のCPの良いビストロ、例えば「ラミティエ」などの品揃えを
参考にしてもらいたいと考えます。

<再度の結論>
やはり結果はワインをきっちり飲むと、かなり高くつく店です。
最近は銀座でも、CP感をウリにしたフレンチなどが
どんどん進出してきましたから、
「昔の名前ででています」状態が続くと
そのうち埋没してしまう可能性があるでしょう。