第356回 ワインサービスは期待はずれ、アルバス 1

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  • 2004年7月5日(月)
最近は古くからあるグランメゾンのベテランシェフが独立して
小さな個人の店を開くのが流行っています。
国内外での修行歴もそこそこに独立した若い料理人が、
マスコミをうまく利用してスターシェフとして注目され、
繁盛している現実に刺激された結果と推測されます。
雇われシェフとして拘束されるより、
自由と注目、そして個人としての成功を求めて
独立してきたのではないでしょうか。

この「アルバス」(銀座)は
日本一のフレンチとまで一時期賞賛されていた、
「アピシウス」(有楽町)を独立した
ソムリエ仲田氏のフレンチです。
埋没して久しい「アピシウス」から
やや逃げ遅れた感もありますが、そこは一世を風靡した有名店、
彼の顧客名簿は相当なものなのでしょう。
オープン当初から盛況で、ネットでの評価も絶賛の嵐。
どんな素晴らしいシェフを引き抜いたのかと
料理に大きな期待をもっての訪問でした。

中央通りから1本入った、小さなビルの3階、
カウンターが6席、ホールが16席、
奥にはガラス戸で区切られているシガールームまであります。
この規模でシガールームを設営する狙いは何なのか、
私は業界系を対象とした
隠れ家フレンチを目指していると読みました。
この日だけと信じたいが、客層はあまり良くありません。
ドレスコードがないようで、
派手なカットソーだけのオジさんと夜系の女性、
そして隠れ家や新設の話題レストランにお約束の、
初老男性と若い女性2人のグループ。
これでは居心地が良いはずがありません。

スタッフは仲田氏のほか、
同じく「アピシウス」で働いていたと言うソムリエールが一人。
明るさ、溌剌さのない彼女の突っつきにくいサービスは
同伴者すべてがブーイングでした。