第351回 大阪の和食の限界か、本湖月 その2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 2004年6月30日(水)
料理はコース制で
1万5千円から5千円刻みで2万5千円までを、
食材などの説明なしで前日までに決めなければなりません。
しかし、我々を含めてカウンターの客は
すべて1万5千円のコースをオーダー、
さすが大阪だと感心させられました。

しかし、10皿の料理、デザートが2皿と量は充分といえますが、
和食の最高峰とはどうしても思えません。
鱧のお椀は5月という時期なのか質の問題なのか生臭く、
出汁は確かに淡いがよって余韻も続かない普通のレベル。
鰹は燻しすぎで見た目は何の魚かわからず、
煮穴子や天麩羅、稚鮎も私は食材の質を含めて疑問に感じました。
創作系ですが、
ふきのとうを包み焼いた太刀魚は、
淡白な魚とのコントラストが面白い一品でした。
その他、白和えなどいくつかに良いと感じるものがありましたが、
〆は出汁巻き玉子に白ご飯。
おいしくいただきましたが、
1万5千円の割に原価率で不満を覚える食材に失望です。

客層は男性客の接待系が主体で、カップルは見かけません。
よって酒類の値付けは高めの設定、
菊姫(吟)が1合3千円を超える値付けも不満です。

「すきやばし 次郎」を
日本一の鮨屋というのも無理があると思いますが、
この店はより「日本一」に遠いと感じた次第です。

コースが3種ありますが、
きちんとした質差をつけて提供ができるでしょうか。
ほとんどの客が最低値のコースを頼むお国柄で、
一人二人にお椀や造り、焼き物、ご飯物で
別食材が用意できるとは思えません。
特に造りは部位やサクの問題もあり甚だ疑問です。

<結論>
早稲田の「松下」よりは上だが、
京都や東京ではいくらでもあるレベル。
同じ価格でも「と村」(赤坂)を見直す結果となりました。
吉兆出身を言わないのは、恥じているのではなく、
狙っている客層が違うので集客に苦労するからだ、
とご主人は説明していました。