第336回 タイユバン ロブションの行く末

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  • 2004年6月15日(火)
またまたあまり良いニュースではありません。
7月末をもって恵比寿ガーデンプレイス内の
「タイユバン ロブション」が一時閉店。
タイユバンは撤退して、
11月にあらためて「ジョエル ロブション」として
再オープンすることが決まったようです。

前々から、タイユバンのオーナー、ヴリナ氏は
手を引きたがっているとの噂がありました。
1994年の10月に鳴り物入りでオープン。
超有名シェフとの提携店のはしりだったでしょう。
オープン当初は既にバブルが崩壊していましたが、
実質的には今とは違い景気はまだ良く、
当時としては破格の値付けにもかかわらず
予約がなかなか入らなかった記憶があります。
一時の勢いは失っていましたが、
昨年末の8万円ガラディナーのイヴェントは完売になるなど、
まだまだ富裕な常連に支えられていたはずです。

しかし、経営側のサッポロホールディングスは、
現在ロブションと蜜月の、
ピザーラをはじめ広く多店舗展開している「フォーシーズ」に
建屋ごと売却しました。
ロブション名を冠した、
「ラトリエ・・・」や「サロン ドゥ テ」などの
旗艦店にするつもりでしょうが、
果たして今までのクオリティーを保つことが出来るでしょうか。

もともとロブションが鍋を振っていた店ではありませんから、
シェフをはじめ厨房スタッフが残留すれば
技術的には変化はないでしょう。
しかし、料理店は経営者の方針、
はっきりいうと性格次第でどうにでもなってしまいます。
同じ建屋、什器備品、スタッフでも、
どのようなコンセプトで運営するかによって
CPは大きく変わります。

利益をより追求して値上げするか食材を落とすか、
またはあくまでフラッグシップとして
「ロオジエ」のように採算を度外視した運営をするか、
それは「フォーシーズ」の社長の考え次第でしょう。
ロブションの考えではないことはあきらかです。

しかし、いつまでロブションのブランドイメージが続くでしょうか。
奇抜で中途半端なフレンチの
「ラトリエ・・・」や「サロン ド テ」などまでに
名前を貸してしまう姿勢をみると、
スリッパからサニタリーまでマークを入れて売り出し結果、
イメージダウンで沈んでいった
有名ブランドを思い出してしまいます。

タイユバンが撤退するということは、
地下の「カーヴ タイユバン」の今後も心配です。
レストランにストックされている多数のワインはタイユバンの物、
値付けは高いが古酒、レアなワインがウリの店でしたから、
11月以降は、少なくともワインに関しては
かなり期待できなくなると考えます。