第323回 鉄板焼きを数回我慢してでも、あら皮 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 2004年6月2日(水)
私はロースしか食べた事がありませんが、
初めて食べた時はレギュラーサイズでもびっくり。
塩胡椒だけの調理で、脂分を感じず
これが本当の肉というものか、とびっくりしたのです。
輸入牛のようにサシの脂を感じないのですが、
食感、旨みともに
巷の鉄板、炭火焼の和牛ステーキよりはるかに上を言っています。
「次郎」を日本一の鮨屋というくらいなら、
全国すべてのステーキ屋を訪ねていませんが、
この店のほうが日本一のステーキ屋に近いと私は考えます。

再訪のたびに、初回の感動は薄れてきたのは致し方ないでしょう。
人間は慣れというものが出てくるからですが、
逆にホテルの鉄板ステーキでは
胡麻タレとか色々なソースでごまかさなければ
私は食べられなくなりました。
コースを頼んでキングサイズの厚さに追加して
驚いたのは肉の中身。
ミディアムなのに、中は結構赤いのです。
4~5センチくらいの厚さの肉の塊と想像してください。
前菜のホタテなども大きめのポーションで、
肉同様シンプルにそのまま食べて、
食材のレベルを感じることができます。
その他パンやデザート、コーヒーまで
拘っていることをプレゼンしているのは、
高価格を正当化したいためかもしれません。

ワインはノンヴィンシャンパーニュが12000円とかなり高いですが、
グラスワインはブルゴーニュ白で1200円と一般的、
「ラトリエ ドゥ ジョエル ロブション」より安いです。
そして肉に合うと思われるボルドー赤は、
言われているほど高くはありません。
確かに1万円以下のものはありませんが、
やや熟成感がでているであろう
80年代、70年代のワインは小売の2倍はしていません。
驚いたことに、
20世紀で最高のヴィンテージの一つといわれる1961年ものも
オークション落札価格の2倍をつけていませんでしたし、
他の優良ヴィンテージである82年も同様の値付けです。
私が思うに、
他のグランメゾンやホテルのダイニングの方が高いのではないか。

ただし、このようなシンプルな肉料理と
洋食屋に毛を生やした程度の内装で
コック帽のスタッフにサービスされて、
世紀のヴィンテージのワインを飲む価値があるかは別問題です。
店側は売り上げ増を狙って、
古めのワイン、つまり高額なワインを勧めてきますから
注意が必要です。
おそらくネットで一人10万円近くかかってしまったという方は、
料理や雰囲気に関係なくこの値付けは高くないが、
高額なワインを頼んでしまったと推定します。
安くあげるには
97年ものの一般的なボルドーが18000円くらいでしたから、
見栄をはらないならこれで充分です。
その他よく探せば3万円未満で
80年代の優良年のワインが見つかります。
料理をコースで頼み、安いワインをとって一人6~7万円。
サービス料が12%と高いのは
満席にならないのに
スタッフが厨房を含めて5人もいるからでしょうか。
ワインを飲まなければ5万円チョイ、
前菜を食べず肉だけ頼む勇気があれば、
3万円以下で終わる計算となります。

<結論>
ホテルの鉄板焼きでワインを入れて3万払うなら、
2回我慢してでもあら皮で6~7万、
他の経費を切り詰めても1回は試してみるべきと考えます。