第283回 友里征耶の提案 その3ワイン持ち込み専門店はいかが
- Tweet
- 2004年4月23日(金)
最近のレストランにあるワインは若いヴィンテージのものばかり。
価格を押さえるため仕方のないことなのですが、
ブルゴーニュやボルドーなど
高級地方のある程度名の知れた畑やシャトーのワインは、
若いのに軽く1万円を超えてしまうものしかなく、
非常に頼みにくいのです。
また廉価のワインの代表である
イタリアの有名でない地方の州や
フランスの南仏、南西地方のワインでも
5千円前後で出すのが難しくなってきているようです。
これほどシェフが独立して競争が激化、
料理価格は3800円だ、5000円だとこなれてきているのに、
ワインが1万円を超えるのを頼むのは
ちょっとバランスが悪いと考えます。
私が日頃から言っているワインの掛け率ですが、
仕入れ原価の1.5倍から2倍以下での提供なら
まずは良心的と考えます。
私の本業では倍売りどころか数%のマージンが当然なのですが、
飲食店関係は総額売上が少ないので、損益分岐点を考えると
多くのマージンをとらなければやっていけないのでしょう。
3000円で仕入れたワインを6000円で売る。
1万円で仕入れたものは1万5千円。
粗利は3~5千円くらいですが、
それにはワインの多種にわたる在庫、保管費用などの
経費が乗ってきます。
そのまま右から左に売り切れるものではないからです。
不動在庫もあるでしょう。
しかし、ワインを注文してもらって売上を伸ばす為に、
最近はワインの掛け率を
だいぶ下げてきている店が目立ってきています。
結果、在庫や保管費用などの割に利益率は低下しています。
そこで友里が考えたのですが、ワインの持込を許すというよりも、
ここは思い切って持ち込みワインを専門、
もしくは主体にするレストランを造ったらどうかと。
あれこれ初期投資でワインを買いだめする必要がありません。
客の来店の1週間前くらいに持ち込んでもらえれば、
保管スペースも少なくてすみます。保管費用も節約できます。
きっちり店の格にあわせて、
3~5千円の持ち込み料を請求すれば、
特にワイン好きなどは
店で頼むより多くのワインを飲む可能性もありますので、
実質的な利益は上がるのではないでしょうか。
拘った客には、グラスも持ち込んでもらえれば、
グラスの損料を考える事もありません。
洗浄しなくてもすみますし。
その分、料理に専念してより口コミで評判をあげるわけです。
どうせ今の客の主体である若い女性は
ワインをほとんど飲みませんから、
ビールとグラス用のシャンパーニュを少し用意し、
拘りのない客用に
数種の安めのワインだけを用意するだけで充分です。
損して得とれではないですが、ストックしたワインで
掛け率を高くして一発大儲けするのではなく、
持ち込み主体にしてワインを飲む客層の開拓をするわけです。
ワインの品質の関する補償もなくなります。
持ち込み専門レストランとして、料理内容に全力をかければ、
ワインラヴァーなど富裕層を取り込む事が出来、
コースではない持ち込むワインにあわせた、
特別料理を要求するグループも増えるでしょう。
売上貢献のほか、
シェフの腕の見せ所と店のモラルもアップすると考えます。
どうせ今のほとんどのレストランのストックワインには、
ワイン好きからみて食指を伸ばしたくなるものがありません。
流通や情報がオープンになったので、
高級ワインでも、誰でもどこからでも
購入できるものがほとんどです。
色々店の特徴あるコンセプトを打ち出したほうが、
集客には役に立つのではと考えます。