第281回 サンス エ サヴール 2

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  • 2004年4月21日(水)
料理は実験的な創作系との先入観がありましたが、
結構オーソドックスと感じました。
アミューズや前菜に
小さなガラスコップに入った1口料理やエスプーマがあり、
同じヒラマツグループの
「ラ リゼルヴ」を思い出して心配しましたが、
魚、肉へとつづくメイン料理に奇を衒ったものはありません。
ウリのひとつなのでしょうか、
「雲丹食べつくし」と称する
3種もしくは5種の調理法を変えた前菜が目にとまります。
皿の盛り付けなどプレゼンテーションが、
味そのものを上回るものでしたが
駄目だしするほどではありません。一度はお勧めでしょうか。

魚、肉料理の小鳩とどれも
素晴らしく印象に残る料理だったとはいえませんが、
1万6千円コース、丸ビル内の店としては
地代や客層などの制約を考えると、
精一杯やっている店と考えます。

しかし、ワインはいただけません。
シャンパーニュ類があまりに高すぎます。
ノンヴィンが1万2千円以上、
クリュッグのノンヴィンにいたっては3万円です。
定価で買っても小売で1万5千円のもの。
私のような一般人でも
7~8千円でインポーターから購入していますから、
4倍以上の値付けです。
クリスタルなどプレステージシャンパーニュも高いですね。
ワインをちょっと知っている人ならば、
この店でシャンパーニュをボトルで頼むことはないでしょう。

ブルゴーニュのワインなども
2万円前後が主体と価格は高いのですが、
シャンパーニュほど掛けてはいません。小売の2倍程度でしょうか。
中には80年代のカリスマ造り手の白ワインなど
値ごろ感をもつものもありました。

しかしこの店ではボルドー、ブルゴーニュといった
高級地方のワインを頼むのではなく、
5~9千円に集中しているラングドックなど
南仏の廉価のワインをたのむにかぎります。
料理の価格の1/2くらいですから、
一般のグランメゾンとは逆の割合になりますが、
ワイン代を抑えることによって、
総額としてのCP感を高める努力をすることが出来るのが
この店の救いと考えます。
よって南仏のワインを飲めば、
1万6千円コースでフロマージュを追加しても、
一人3万円と予想に反した予算で終わることが出来ました。

<結論>
値付けは安くないが、絶対額が安いワインを揃えているので、
高額な料理代の割に総額は予想より低く抑えられる。
客層などの問題を指摘されるが、
満席になっていないので、隣客はそんなに気にならない。
有名店でも、コース料理がうまくないのが定説ですが、
この店は許容範囲です。
グランメゾンの雰囲気を味わい、
アラカルトのオーダーが苦手な方、
フレンチ初心者、幼児連れには向いていると考えます。